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水回りリノベーションはどこまで動かせる?3条件と費用相場・間取り図4件

浴室を広い場所へ移したい。キッチンと洗面をつなげて、家事の行き来を減らしたい。設備の交換で変わるのは使い心地と見た目ですが、位置まで動かせば毎日の動きそのものが変わります。

ところが、いざ相談すると「この位置からは動かせません」と言われることがあります。

可否を決めているのは施工会社の技術力ではなく、床下に排水管を通せるかという物理的な条件です。

調べるのは施工会社の仕事ですが、どこを見れば判断できるのかを知っておけば、依頼する前の段階で見当はつけられます。

実際に水回りを動かした間取りを見ながら進めます。事例をまとめた「RENOVATION BOOK」は、LINEの友だち登録で受け取れます。

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水回りリノベーションで移動できるかは、まずこの3つで当たりをつける

確認するもの

見る場所

動かせる可能性が高い

動かせない可能性が高い

床下に配管を通せるか

洗面台下・脱衣所の点検口、竣工図

床下に空間があり、配管が横に走っている

空間がなく、配管が床に埋まっている

壁を抜けるか

竣工図・設計図書(マンションは管理組合や管理会社)

建物を支えていない間仕切り壁

動かしたい壁が建物を支えている

規約で禁じられていないか(マンション)

管理規約(購入前なら重要事項調査報告書)

制限の記載なし

位置変更や床のかさ上げが禁止

マンションなら、規約から確認するのが早く済みます。 管理組合か管理会社に聞けば、水回りの位置を変えられるかどうかの答えがそのまま返ってきます。

禁じられていれば、床下や壁を調べるまでもありません。戸建てに管理規約はないので、確認するのは床下と壁の2つです

ただし、ここで出るのはあくまで当たりです。 同じ二重床でも床下の高さは住戸ごとに違い、既存の配管がどこを通っているかによっても動かせる範囲は変わります。

それでも先に見当をつけておけば、どの物件を候補に残すか、どの要望を優先するか、どの会社に頼むかを、調査が始まる前の段階で決められます。

マンションの水回りリノベーションは、床の構造で移動できる範囲が決まる

床下に配管を通せる空間があるかどうかで、大枠が決まります。 そのうえで壁を抜けるかどうかと、管理規約の制限を確認します。

マンションの水回り移動は、直床か二重床かで可否が分かれる

直床(じかゆか)は、建物を支えるコンクリートの床板の上に、直接フローリングを張った構造です。排水管はこのコンクリートを貫通するか、中に埋め込まれています。

床下に空間がないぶん、配管を横に引き回す余地がありません。位置を変えるなら床全体をかさ上げする話になり、天井高が下がるうえ工事費も膨らみます。

二重床は、コンクリートの床板の上に脚を立てて床を浮かせた構造です。

浮かせてできた空間を給排水管が通っているので、その高さに収まる範囲であれば、配管を引き回して設備の位置を変えられます。

どちらの構造かを確かめるには、竣工図の床伏図(ゆかぶせず/床の造りが描かれた図面)を見るのが確実です。

図面がすぐ手に入らない場合は、洗面台の下や脱衣所の点検口を開けてみてください。床下に空間があり、配管が横に走っているのが見えれば二重床です。

ここまで分かれば、水回りの移動が見込める物件かどうかを見分けられます。

支えている壁は抜けないので、移動先を作れないことがある

マンションには、柱と梁で建物を支えるタイプと、壁そのもので支えるタイプがあります。

後者は室内に立っている壁が建物を支えているため撤去できず、床下に余裕があっても移動先を作れないことがあります。5階建て程度までの中低層マンションに多い構造です。

どちらのタイプかは竣工図で分かりますし、施工会社に聞けばすぐ答えが返ってきます。

床下と壁の両方がそろっているかどうかが、物件を候補に残すかどうかの分かれ目になります。

水回りを動かせない場合は、ゾーン内の構成を変えて解決する

構造上の制約で移動できないと分かっても、ゾーンの内側で構成を変えれば使い勝手は改善できます。

一体になっている設備を別々の部屋に分ける方法と、並び順を組み替える方法の2つがあります。

3点ユニットから分離した洗面室とユニットバス
3点ユニットから分けた洗面室(左)とユニットバス(右)。浴室を独立させたことで、洗面台まわりが濡れなくなりました

事例|3点ユニットを3つの部屋に分ける

アズ建設が手がけた、単身向けワンルームの事例です。入口側に水回りがまとまり、浴室・トイレ・洗面が一体の3点ユニットになっていました。

洗面室・トイレ・ユニットバスの3室に分け、位置そのものは動かさずに用途ごとに区切っています。

3点ユニットは入浴のたびに床も便座も濡れるため、掃除の手間がかかり、置いた物も湿気を吸います。

間仕切りを立てるだけでも、浴室の湿気を他の2室から切り離せます。

単身向けの物件では3点ユニットを理由に候補から外されることがよくありますが、リノベーションで解決できる前提で見れば、立地や広さの条件が良い物件を選択肢に戻せます。

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マンションの水回りリノベーションで浴室と洗面を入れ替えた間取り図のビフォーアフター
トイレ(右側)とキッチン(左下)は位置が変わっていません。動いているのは浴槽と洗面です。BEFORE(左)はキッチン側から洗面、その奥が浴槽の順。AFTER(右)ではこれが入れ替わり、浴槽がキッチン寄りに来ています

田中建設が手がけた、築41年・79平米の神奈川のマンションです。

壁で建物を支える構造で間取り変更に制限があったため、水回りのゾーンは動かさず、その内側で浴室と洗面の位置だけを入れ替えています。

トイレとキッチンは元の位置のままなので、排水の取り出し口を大きく変えずに済み、床を上げる必要もありません。

壁が抜けない住戸でも、並び順を変えるだけで動線の不便を減らせます。

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管理規約による制限は、構造の判定とは別に確認する

構造上は動かせても、規約が認めていないために実行できないことがあります。

床のかさ上げに上限を設けている、水回りの位置変更そのものを禁じている、フローリングの遮音性能に基準を設けているといった規定が代表的なものです。

いま住んでいるマンションであれば、管理組合か管理会社に問い合わせれば確認できます。

中古を購入してリノベーションする場合は、工事の制限が重要事項調査報告書(物件の管理状況をまとめた書類)に記載されているので、仲介会社を通じて取り寄せてください。

契約後に動かせないと分かっても間取りの計画をやり直すしかないので、内見の段階で床構造と規約の両方を押さえておけば、買ってから計画が崩れる事態を避けられます。

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戸建てで水回りを動かせるかは、床下の空間で決まる

床下に人が潜れる空間があれば、動かせる範囲はマンションより格段に広がります。 管理規約もないので、確認するのは床下だけです。

ただし戸建てにも抜けない壁はあります。

木造なら筋交いの入った壁や柱の位置がそれに当たり、動かすには構造の補強が必要になります。設計図書が残っていれば施工会社が確認できますが、古い住宅では壁を開けてからでないと分からないこともあります。

配管が床下を走っているか、コンクリートに埋まっているかを見る

床下に空間があり、そこを配管が横に走っているなら、経路を引き直して設備を動かせます。

人が潜って作業できる高さが確保されていれば、住まいのかなりの範囲まで移動先の候補になります。

配管が基礎のコンクリートに埋まっている場合は、経路を変えるためにコンクリートを削る工事が必要です。手間が加わるぶん、費用も工期も跳ね上がります。

どちらに当たるかは床下点検口で分かります。洗面所やキッチンの床にある四角い蓋を開けて、中を見てください。

ここまで分かっていれば、施工会社との最初の打ち合わせで、大がかりな工事になりそうかどうかの話ができます。

床下を使えると実際どこまで動かせるのか、例を見てみましょう。

平屋の水回り4点を対角へ移動してまとめた間取り図のビフォーアフター
BEFORE(左)は浴室(U.B)と洗面脱衣(U.T)が上側中央、キッチンがその右隣、トイレだけが下側の玄関寄りに離れています。AFTER(右)では浴室が右上の角へ、洗面コーナーと洗濯機がその左隣、トイレも上側へ移り、4点が右上の一角にまとまっています

アルティザン建築工房が手がけた、築48年・81平米の北海道の平屋です。

もともとは浴室と洗面が北側の中央、トイレは南側の玄関寄りにあり、水回りが家の中で二手に分かれていました。

これを北東の一角にまとめ、浴室・洗面・洗濯・トイレを隣り合わせに再配置しています。

これだけの距離を動かせたのは、平屋で床下に配管を通せたからです。

水回りの床に点検口を設けて配管を後から確認できるようにしている点からも、床下を使った設計だと読み取れます。

一角にまとめた洗面と洗濯機まわり
右上の一角にまとめた洗面・洗濯まわり

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2階に新設するなら、1階の天井裏が配管の通り道になる

2階にトイレや洗面を新設する場合は、床下ではなく1階の天井裏が配管の通り道になります。

天井裏にスペースを確保できるか、既存のパイプスペース(配管を通すために縦に抜けている空間)に接続できるかで可否が決まります。

天井を下げれば通せることが多いものの、そのぶん1階の天井高が低くなるので、どの部屋の上に新設するかを先に決めておけば、居室の圧迫感を避けられます。

水回りリノベーションで動かしやすい設備と、動かしにくい設備

同じ住まいでも、トイレは動かしにくく、洗面や手洗いは動かしやすいという差があります。 理由は排水管の太さです。

給水と給湯は圧力で押せるので、配管は家のどこへでも引けます。制約になるのは排水のほうで、重力だけで流すため下り勾配が欠かせません。

管が太いほど床下に必要な高さが増え、動かせる範囲がせまくなります。

設備

排水管の太さ

動かしやすさ

トイレ

75mm

最も難しい

浴槽・キッチン・洗濯機

40mm

中間

洗面台

30mm

比較的動かしやすい

手洗い器

25mm

最も動かしやすい

設備ごとの管の太さは、下水道の排水設備工事設計施工指針で定められています。トイレだけ元の位置に残す案を提示されるのは、この太さの差が理由です。

逆にトイレを動かせないと言われた場合でも、手洗いだけを別の位置に設けられないかは相談する価値があります。

遠くへ動かすほど、床を上げるか天井を下げることになる

排水は下り勾配で流すため、移動距離が伸びるほど大きな落差が必要です。床を上げればその部屋だけ段差ができ、天井を下げればその下の空間が低くなります。

どちらで吸収するかは調査のうえで施工会社が提案してきますが、その段差や低い天井と暮らすのは自分です。

移動距離を優先して段差を受け入れるか、距離を諦めて段差をなくすか。どちらを許容できるかを先に決めておけば、提案されたプランをその場で判断できます。

壁付けから移動して対面にしたキッチン
壁付けから移動して対面にしたキッチン。この移動にともない排水管の勾配を取り直し、床を上げています

事例|床上げの範囲を抑え、上がった部分をパントリーにする

キャプション:床が上がった部分をパントリーにしています。扉を閉めれば段差は目に入りません

田中建設が手がけた、築27年・73平米のマンションです。

壁付けだったキッチンを移動したところ、既存の床の高さでは排水管の勾配が取れず、床を上げる必要が出てきました。

配管のルートを組み直して床上げの範囲を最小限に抑え、上がった部分をパントリーとしています。扉を閉めれば段差は目に入りません。

水回りを動かせば床に段差が出るのは避けにくいことですが、収納のような滞在時間の短い場所へ寄せておけば、生活動線の上でつまずく場面をなくせます。

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水回りリノベーションの間取り変更は、集約と回遊の2つの型で考える

散らばった水回りを1か所に寄せるか、通り抜けられるようにするか。 どちらに近いかを先に決めると、プランの検討が早く進みます。

水回り集約型|家じゅうに散った水回りを1か所にまとめる

古い住宅では、キッチンは北側、浴室は別棟に近い位置、トイレは玄関脇という具合に、水回りが分断されていることがよくあります。増築を重ねてきた戸建てに多く見られます。

これを1か所に寄せるのが集約型です。洗濯と入浴と洗面が隣り合えば、洗濯機を回しながら風呂を洗うといった動きが数歩で済みます。

配管も1系統にまとまるので、将来の交換や点検にかかる手間と費用も抑えられます。

築60年の平屋で水回りを1か所に集約した間取り図のビフォーアフター
BEFORE(左)は水回りが家じゅうに散っています。キッチンは左上の角、トイレは右側の張り出し部分。AFTER(右)では、浴室・洗面/洗濯/脱衣・トイレが左端に一列に並んでいます。トイレは住戸のほぼ対角へ動き、キッチンは逆に右下のLDK側へ移って対面配置になっています

事例|築60年の平屋を、水回り集約型に再編する

有限会社スケールメイクスが手がけた、築60年・48.8平米の戸建てです。

3Kから2LDKへの再編にあわせて、東側にあったトイレを西側へ移し、浴室・洗面・洗濯・脱衣とひとまとめにしています。

洗面と洗濯と脱衣が一室になったので、入浴から洗濯までが同じ場所で片づき、隣が寝室のため就寝前後の行き来も数歩で済みます。

48平米という限られた床面積でも、水回りを寄せて余った分を居室に回せば、生活の中心をLDKにまとめられます。

浴室と隣り合う造作洗面台
モザイクタイルで仕上げた造作の洗面台。左手の開口の先が浴室で、入浴と洗面が隣り合っています

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回遊動線型|水回りを通り抜けられる位置に置く

集約したうえで、さらに通り抜けられるようにするのが回遊型です。行き止まりがなくなると、朝のように家事と身支度が重なる時間帯でも、家族の動きが正面からぶつかりません。

成立させる条件は3つあります。

1つ目は、洗面に2方向の出入口を取れるかどうかです。回遊の要は廊下ではなく洗面で、ここが袋小路の脱衣室になっているとループが閉じません。

2つ目は、トイレをループに含めないことです。使用中はその区間の動線が塞がるため、廊下やホールから入る独立した部屋として外に置きます。

3つ目は、玄関から水回りへLDKを経由せずに届くかどうかです。 この経路があれば、外から持ち込んだ汚れをLDKに広げずに済みます。

洗面を通り抜けて回遊できる水回りの間取り図
図の上側、左からUB、洗面(LAUN)、パントリー(PAN)、キッチン、ダイニングが並びます。回遊のループは、キッチン→パントリー→洗面→ホール→リビング→ダイニング→キッチン。要になっているのが洗面で、パントリー側とホール側の両方に出入口があります。一方トイレ(WC)はホールから入る独立した室で、ループの外に置かれています

事例|洗面を通り抜けられるようにして回遊させる

ひかり工務店が手がけた、築43年・75平米の大阪のマンションです。LDK、キッチン、パントリー、洗面、ホールがひと続きにつながる回遊動線を組んでいます。

要になっているのは洗面で、パントリー側とホール側の両方に出入口を設けて通り抜けられるようにしてあります。

浴室と洗濯機も洗面の同室と隣室にまとめてあるので、入浴から洗濯までがこの一角で片づきます。

パントリーへ通り抜けられる造作洗面台
造作の洗面台。右手の開口の先がパントリーで、洗面はここを通り抜けられます。この抜けが回遊動線の要になっています

間取り変更でよく起きる失敗は、勾配不足と段差の2つ

1つ目は勾配不足です。 移動距離を欲張ると排水の流れが悪くなり、想定以上に床を上げることになります。

計算するのは施工会社ですが、希望の位置に動かすと床が何mm上がるのかは、プランを承認する前に必ず聞いておいてください。

2つ目は段差です。 落差を床上げで吸収すると、生活動線の上に段差が生まれます。

図面では段差の位置まで意識が向きにくいので、どこに何mmの段差が出るのかを確認し、収納のような滞在時間の短い場所へ寄せられないか相談してください。

水回りリノベーションの費用相場は、交換のみと移動ありで大きく変わる

同じ「浴室のリノベーション」でも、入れ替えるだけか位置を動かすかで費用は倍近く変わります。 以下の金額は、設備のグレードや既存の配管の状態によって上下する目安です。

部位別の費用相場は、同じ部位でも工事内容で数倍開く

部位

工事内容

費用相場

キッチン

交換(位置の移動なし)

100万円〜300万円

キッチン

交換(位置の移動あり)

150万円〜350万円

浴室

ユニットバスの全体交換

70万円〜160万円

浴室

浴室の移動・拡張

150万円〜250万円

浴室

3点ユニットバスからトイレを分離

50万円〜200万円

トイレ

トイレ交換

30万円〜100万円

洗面所

洗面台交換

15万円〜50万円

洗面所

洗面室の内装全体(防水パン含む)

30万円〜40万円

部位ごとの設備の選び方と費用の内訳について、以下の記事で詳しく解説しています。

キッチンリノベーションの費用と進め方

浴室リノベーションの費用と進め方

トイレリノベーションの費用と進め方

洗面所リノベーションの費用と進め方

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移動を伴う工事は、間取り変更と2階への新設で金額が変わる

工事内容

費用相場

間取り変更(一般的な相場)

150万円〜500万円

2階にトイレを設置

100万円〜250万円

2階に浴室を設置

200万円〜400万円

2階にキッチンを設置

150万円〜500万円

上乗せ額が振れるのは、既存の配管ルートを使えるかどうかで工事の内容が変わるからです。

同じ移動距離でも、床下を通せる住まいとコンクリートを削る工事が要る住まいでは金額の桁が違います。

見積もりを取る前に自宅がどちらに当たるかを確かめておけば、相場の上限と下限のどちら寄りになるかを見込んで予算を組めます。

セットでまとめた場合の費用相場

セット内容

費用相場

2点セット(浴室+洗面台)

80万円〜200万円

3点セット(キッチン+浴室+トイレ)

150万円〜300万円

4点セット(キッチン+浴室+トイレ+洗面台)

200万円〜400万円

いずれも位置は動かさず、設備を入れ替えるだけの工事が前提です。まとめて発注すると総額が下がるのは、解体や養生、廃材処分といった共通部分が1回で済むためです。

ただしセットに含まれる設備は標準グレードに絞られていることが多く、部位別の相場を単純に足した額と比べているわけではありません。

見積もりを比較するときは、金額よりも先に設備の型番を揃えてください。

全面更新した場合の目安

条件

交換のみ

移動あり

マンション70平米・水回り4点

200万円〜400万円

300万円〜500万円

戸建て35坪・水回り4点

200万円〜400万円

350万円〜600万円

交換だけなら物件の種類で金額は変わりません。差が出るのは移動を伴う場合で、戸建ては配管を引き回す距離が長く、床下の解体と復旧の範囲も広がります。

築年数が古い住宅では配管の全面交換と床下地の補修が加わりますが、壁や床を開けたときにまとめて済ませておけば、数年後に同じ場所をもう一度解体する出費を防げます。

水回りリノベーションの工期は、同時に止まる設備の数で決まる

判断材料は工期の長さではなく、同時に使えなくなる設備の数です。

部位別の工期は、交換なら数日、移動を伴うと数週間かかる

部位

交換のみ

移動あり

キッチン

4〜7日

2〜4週間

浴室(ユニットバス)

4〜7日

2〜4週間

トイレ

1〜2日

1〜2週間

洗面所

1〜2日

1週間程度

水回り4点をまとめて交換するなら2〜3週間、移動を伴う場合は1〜2か月が目安です。部位ごとの日数を足した数字より短く収まるのは、解体と復旧をまとめて行えるからです。

ただし配管や下地の傷みは解体してから分かることも多く、そこから工程が延びる場合があります。

住みながら進められるかは、同時に止まる設備の数で決まる

トイレだけ、あるいはキッチンだけの工事であれば、近隣の施設や外食で代替が利きます。数日間の不便を我慢すれば、仮住まいの費用をかけずに住み続けられます。

これが浴室と洗面とトイレの同時停止となると、生活そのものが成り立ちません。

部位ごとに時期を分ければ住みながら進められますが、そのたびに床や壁を開け直すことになり、総額も工期の合計も増えていきます。

仮住まいの費用と比べてどちらが安く済むかを、見積もりの段階で確認してください。

水回りの移動を伴う工事なら1〜2か月、交換だけをまとめて行う場合でも2〜3週間の仮住まいを見込んでおきます。

この期間の家賃と荷物の移動費は工事費とは別に発生するので、予算を組む段階で織り込んでください。

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水回りリノベーションの費用を抑えるのは、補助金とグレード配分

費用を下げる手段は、補助金を使うことと、設備のグレードを部位ごとに配分することの2つです。 どちらも計画の段階で決めておかないと、工事が始まってからでは選び直せません。

住宅省エネ2026キャンペーンで対象になる工事

2026年度も国の補助制度として住宅省エネ2026キャンペーンが実施されています。

水回りに関係するのはみらいエコ住宅2026事業で、節水型トイレ、高断熱浴槽、節湯水栓、浴室乾燥機、ビルトイン食器洗機などが対象製品に含まれます。

注意したいのは、住宅設備の工事だけでは申請できない点です。水回りの工事に内窓の設置などの断熱改修を組み込んでおけば、この条件を満たして補助を受けられます。

申請手続きは登録事業者が代行し、予算上限に達し次第で受付が終了するので、登録事業者かどうかを会社選びの段階で確かめて早めに動いてください。

詳しい要件は住宅省エネ2026キャンペーン公式サイトで確認できます。

グレードは使用頻度の高い設備に配分する

4点すべてを同じグレードで揃える必要はありません。

トイレは標準モデルと上位グレードの差が数十万円にとどまるのに対し、キッチンは100万〜300万円と幅そのものが大きく、選び方で総額が大きく動きます。

配分の基準になるのは、使う時間の長さです。キッチンと浴室は毎日長く使うため、設備の性能がそのまま家事の負担に返ってきます。

トイレや洗面台は標準グレードでも不満が出にくいので、予算を絞るならこちらから下げていけば、日々の使い勝手を落とさずに総額を抑えられます。

相見積もりは2〜3社で、工事範囲の内訳を揃えて比較する

移動を伴う工事では、配管工事の範囲や床の復旧をどこまで含めるかが会社ごとに違います。安く見える見積もりが、単に工事範囲が狭いだけということもあります。

依頼の時点で、動かす設備と移動先を図面で示し、設備の型番まで指定してください。同じ条件で出してもらえば、金額の差をそのまま工事費の差として読み取れます。

まとめ

水回りリノベーションで最初に確かめるのは、動かせるかどうかです。マンションなら床下に配管を通せるか、壁を抜けるか、規約が許すか。

戸建てなら床下に空間があるか。これを見れば、実現できる範囲の見当がつきます。

動かせると分かったら、集約するのか回遊させるのかを決め、そのうえで費用と工期を詰めていきます。

この順序を守れば、プランを固めてから構造上の制約が見つかって描き直すという回り道を避けられます。

フルリノでは、リノベーションを手がける会社を条件から探せます。

水回りの移動を伴う工事の実績がある会社に絞って比較できるので、構造の判定から相談したい方はご活用ください。

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記事を書いた人
開原 崇友(かいはら たかとも)

開原 崇友(かいはら たかとも)

建築系ベンチャーにて、組織づくりや新規事業立ち上げに従事。 また、建築会社やスタートアップ企業の事業戦略・人事コンサルタントとして、さまざまな企業の支援にも。 長きに渡る建築業界での経験から、建築プラットフォームを構想。フルリノ!を立ち上げる。

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