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ホテルライクなリビングの「作り方」|おしゃれなインテリアとリノベ実例

「物を減らしたのに、なぜか生活感が消えない…」

「高級な家具を置いても、ホテルのような統一感が出ない…」

「結局、どこから手をつければ『上質な空間』になるのか分からない…」

理想の「ホテルライクなリビング」を目指す中で、そんな悩みを感じていませんか?

リビングをホテルのように設える(しつらえる)ことは、日々の暮らしに非日常の安らぎと高揚感をもたらす、非常に価値のある空間づくりです。

その反面、見よう見まねで家具を配置したり、色数を絞ったりするだけでは、かえって「殺風景で落ち着かない」空間になってしまうケースが少なくありません。

現代のホテルライクなリビングづくりは、単なる「余白の美」の追求ではなく、「計算された生活動線(収納含む)」と「五感に訴える素材感(照明・質感)」を両立させるのがセオリーです。

この記事では、ホテルライクなリビングを実現するための「色選び」「素材選び」「収納設計」「照明計画」の4大原則から、狭い部屋や賃貸でも実現可能な実践的アイデアまで、プロの視点で徹底的に解説します。

▼この記事でわかること

  • ホテルライクな空間を実現する「色選び」「収納」「照明」「素材選び」の4大原則
  • よくある失敗例(「寒々しい」「生活感が出る」)とその対策
  • 狭い部屋(8畳~10畳)や賃貸でも実現できる具体的なレイアウト術
  • 配線や小物を完全に隠す、リノベーションならではの「造作収納」の設計方法
  • 参考になる「配色」「素材」「陰影」別のリノベーション実例3選

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「ホテルライクなリビング」とは? 憧れの空間を叶える魅力と失敗しない注意点

LDKの写真。長い木のカウンターバーがあり、床も木製。左の壁はダークグレーで、天井の一部も板張り。奥の窓際に家族が座っている。

ホテルライクなリビングとは、色数を抑えた「非日常の上質さ」と、徹底した「隠す収納」による「生活感のなさ」を両立させた空間です。

そこには、視覚的なノイズが排除された環境で得られる高いリラックス効果と、計算された素材や照明が生む上質な満足感があります。

本章では、ホテルライクな空間の構成要素と、よくある失敗例の対策を詳しく解説します。

「ホテルライク」を実現するための主要素

ホテルライクなリビングとは、単なる「おしゃれ」ではなく、非日常の上質さと日常の快適さが美しく調和した空間です。

具体的には、基調とする色数を抑えることと、床材や壁材、ファブリックの素材感、そして照明の計画で空間に奥行きと表情を作るのが基本的な考え方です。

背の低い家具を直線的に配置し、空間に「余白」を残すことで、空気感が生まれ、非日常的な安らぎを演出できます。

ホテルライクなリビングがもたらす3つの魅力

ホテルライクなリビングがもたらす魅力は、大きく3つあります。

  1. 視覚的ノイズのない「非日常感」と高いリラックス効果
  2. 物が散らからない設計がもたらす「精神的な余裕」
  3. 洗練された照明と上質な素材が演出する「特別な時間」と満足感

目指すのはどれ?「モダン」「リゾート」「クラシック」3大スタイルの特徴

ホテルライクな空間にも、いくつかの代表的なスタイルがあり、ご自身の好みに合わせて方向性を決めることが大切です。

モダン系

無彩色(白・黒・グレー)を基調とし、硬質な素材と直線的なデザインで都会的な洗練感を表現します。シャープでクールな印象が特徴です。

リゾート系

白やベージュなどのアースカラーと、無垢材やラタンなどの自然素材を多用し、温かみと開放感を演出します。癒しとリラックスを重視する方に適しています。

クラシック系

濃い色や重厚な家具、光沢のある素材(大理石、ベルベット)で非日常的な高級感を生み出します。伝統と華やかさを求める場合に適しています。

ワンルームの室内写真。中央に床より一段高い、板張りの小上がりキッチンが配置され、手前のコンクリート床にはベッドとラウンジチェアが置かれている。

ホテルライクなリビングづくりで後悔しないために。やりがちな失敗例と対策を解説

ホテルライクに憧れて、いざ自宅に落とし込もうとすると、意図せず「殺風景」や「使いにくい」などの失敗につながることがあります。

よくある失敗は、「色味が寒々しく、落ち着かない」「細かい生活感が隠しきれない」「照明が単調で、のっぺりしている」の3つです。

これらの失敗は、主に素材の選び方、収納計画の甘さ、照明計画の知識不足から生じます。

ご自身の「憧れの空間」と「現実の暮らし」のバランスを見ながら、対策を講じることが重要です。

失敗例1: 色味が寒々しく、落ち着かない。

白やグレーを基調としたホテルライクな空間は、一歩間違えると単調で寒々しい印象になり、居心地の悪い空間になってしまいます。

対策は、床や家具に「木目調」や「無垢材」などの温かみのある素材を加えることです。

ソファやラグなどのファブリックに、ベージュや濃いグレーなどの「温かい色味」を取り入れることで、空間全体に心地よさを足すことができます。

失敗例2: 細かい「生活感」が隠しきれない。

ホテルライクな空間の最大の敵は「生活感」です。一見片付いていても、リモコンなどの雑多な小物が少しでも露出していると、一気に非日常感が失われます。

対策は、「隠す収納」を徹底し、リビングに置くすべての雑多な小物に対して「定位置」を厳密に決めることです。

また、ゴミ箱や掃除道具なども、極力扉付き収納の中に収める計画を立てましょう。

失敗例3: 照明が単調で、のっぺりしている。

日本の一般的な住宅に多い、一室一灯のシーリングライトだけでは、空間全体が均一に照らされてしまい、ホテルのような「陰影」や「立体感」を演出できません。

対策は、シーリングライトを避け、ダウンライトや間接照明、テーブルランプなどで「光の層」を作ることです。

光を「点」で使い、リラックスできる「電球色」で統一しましょう。

【広さ別】10畳・15畳・20畳で注意すべきポイント

リビングの畳数によって、家具の選び方やレイアウトのポイントは変わってきます。

空間の広さに関わらず、ソファのサイズに見合った歩行幅(回遊動線)を確保しましょう。

例えば、10畳程度の広さの場合は、大型ソファを避け、背の低い家具(ロースタイル)を壁寄せで配置し、間接照明を多用すれば、視覚的な広がりを演出できます。

15畳から20畳以上の広さがあれば、ソファとダイニングエリアを明確に分ける「ゾーニング」を行い、複数の間接照明を組み合わせることで、空間を格上げできます。

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ホテルライクなリビングの色選び。「白・グレー」を基調にした失敗しない配色術

グレーで統一されたリビングの写真。床はグレーのタイル張りで、壁には造作のテレビ台が設置されている。天井には間接照明が組み込まれている。

ホテルライクな空間のカラーパレットは、「白」と「グレー」を基調に、色数を絞り込むことが失敗しないための基本です。

色数を抑えることで、上質な素材の質感を際立たせ、清潔感と落ち着きが同居する空間を実現できます。

この章では、ホテルライクな配色に不可欠な「7:2:1の法則」と、単調さを回避するテクスチャの活用法を解説します。

ホテルライク配色の基本。「白」と「グレー」で構成する 7:2:1の法則

ホテルライクの配色の基本は、「ベースカラー7:メインカラー2:アクセントカラー1」の7:2:1の法則で色を構成することです。

面積の大きい「壁・天井・床」などのベースカラーに、白や淡いグレーなどのニュートラルカラーを7割程度の割合で配色します。

次に、ソファやカーテン、ラグなどのメインカラーに、ベースカラーよりも濃いグレーやベージュなどの落ち着いた色を2割程度の割合で取り入れます。

最後に、クッションやアート、小物のアクセントカラーに、黒や金属(ゴールド・シルバー)を1割程度用いて空間を引き締めます。

色は「3色」に絞るのが鉄則。素材感(テクスチャ)で単調さを回避する

ホテルライクな空間づくりでは、使用する色を3色以内に絞ることは鉄則です。色数を抑えることで、空間に静けさと統一感が生まれます。

ただし、色を絞りすぎると単調で平坦な印象になってしまうため、色で表現できない部分を素材感(テクスチャ)で補うのがプロのテクニックです。

例えば、同じ白やグレーでも、壁にはマットな質感の塗装を、床には石目調や木目調の素材を、ソファには織りの深いファブリックを使うなど、素材の質感差(マット/艶/木目)で表情を足します。

ワンルームマンションのLDKと寝室の写真。手前にラウンジチェアに座る男性、奥にベッド、右側に小上がりのキッチンカウンターが配置されている。

白の明度差とグレーの濃淡(グラデーション)で深みを出す

単に「白」や「グレー」を使うだけでは、のっぺりとした平坦な空間になってしまいます。そこで重要になるのが、明度差と濃淡のグラデーションを意識することです。

同じ「白」でも、壁は艶のないマットな白、天井はやや明度を落とした白など、明度と質感に差をつけることで、光の当たり方で陰影がコントロールされ、空間に深みが生まれます。

グレーを用いる際は、冷たくなりすぎないよう、温かみのある「ウォームグレー」を選ぶなど、温冷のバランスを調整しましょう。

さらに、間接照明を効果的に使うことで、壁の陰影を強調し、ホテル感をより強化できます。

年代を問わず落ち着ける空間となり、愛着のあるビンテージ家具や北欧家具もより一層映えるでしょう。

空間を引き締めるアクセント。「黒」「金属」「木目」の効果的な使い方

白とグレーの空間を単調に終わらせず、洗練された印象に格上げするためには、アクセントカラーを効果的に使うことが重要です。

アクセントカラーには、「黒」や「金属」、「濃い木目」などが適しています。

照明のフレーム、家具の脚、ドアの取っ手などに黒いラインを用いると、空間全体がシャープに引き締まります。

また、小面積でステンレスや真鍮(しんちゅう)などの金属素材を用いることで、光沢が上質さを加え、空間のグレードを引き上げられます。

木質を取り入れる際は、色味を絞り、黄味や赤味の強い木材の混在を避けることで、モダンな雰囲気を保てます。

素材の色を統一することで「ダサ見え」を回避し、片付けが苦手な方でも整って見える空間になります。

ホテルライクなリビング収納術。「テレビ周り」と「雑多な小物」を隠すアイデアと素材選び

ホテルライクなリビングの実現には、「徹底した隠す収納」が欠かせません。

生活感を醸し出す原因となる、テレビ周りの配線やリモコン、雑多な小物をいかに視界から消すかが成功の鍵です。

この章では、生活感を消すための具体的な設計アイデアと、長く美しさを保つための素材選びのセオリーをご紹介します。

「見せない収納」の徹底が基本。生活感を消すための配線処理と造作収納

ホテルライクな空間の基本は、「見せない収納」の徹底です。特に、リビングの生活感の源となる「毎日使う物」の定位置化と、「充電・配線」の完全な隠蔽(いんぺい)は必須です。

壁一面を使った造作の扉付き収納を採用し、外からは色ノイズが見えないよう、見せるのは厳選した装飾品やアートのみに留めます。

テレビやオーディオ機器の配線、ルーター、充電器などはすべて収納し、表から完全に隠しましょう。

生活感を「隠蔽」する素材選び。空間の印象を決める扉(面材)と壁材のセオリー

収納の扉(面材)や壁材の選び方は、空間の印象を大きく左右します。

生活感を隠蔽するためには、光沢を抑えたマット仕上げの扉材や、木口(こぐち)が見えないように丁寧に処理された面材を選び、高級感を担保しましょう。

壁には、ビニールクロスではなく、塗装や左官材(漆喰・珪藻土)、大型タイルを用いることで、光の当たり方による陰影の深さが生まれ、ホテルのような上質さを演出できます。

「散らからない」リビングの設計。テーブル周りの「定位置」と家事動線の最適化

「散らからない」リビングを実現するためには、リノベーションの計画段階で、テーブル周りの雑多な小物の「定位置」を先に決めることが重要です。

具体的には、リモコン、雑誌、充電用の小物などに指定席を作り、出しっぱなしでも整って見えるようなトレイやボックスを用意します。

また、ダイニングからソファ、キッチンへの動線は直線的で回遊性を持たせることで、料理をしながら、あるいは食事をしながらサッと片付けられる家事動線の最適化ができます。

「物量」をコントロールする収納と多機能家具の選び方

圧迫感を与えず、ホテルライクな清潔感を維持するためには、「物量のコントロール」が大事です。

まず、収納家具を選ぶ際には、ベンチ兼収納や、サイドテーブル兼ワゴンなど、多機能家具を活用し、設置する家具の総数を減らしましょう。

次に、収納内部のルールを定め、「使う頻度の高い一軍のモノだけを出す」仕組みを作りましょう。

使用頻度の低い季節家電や趣味の道具などは、天袋やベッド下など、リビング以外の場所に収納スペースを確保します。

モノの総量を最適化すれば、日々の片付けに悩まされることなく、ホテルのような清潔感ある空間を実現できます。

狭いリビング(8〜10畳)のレイアウト術と圧迫感を抑える家具選び

狭いリビングでは、「シンメトリー(左右対称)」な配置と「低重心家具」の採用で圧迫感を抑えます。

8〜10畳のコンパクトな空間では、通路を確保できるサイズの「ソファ」を選び、鏡や「縦ライン」を強調するカーテンなどの視覚テクニックで空間を広く見せることが重要です。

「シンメトリー」と「低重心家具」で圧迫感を抑える配置術。

狭いリビングで圧迫感を抑える配置術は、「シンメトリー(左右対称)」と「低重心家具」を採用することです。

まず、リビングの中心軸を決め、その両脇にサイドテーブルやランプなどを左右対称に配置すると、空間に「整然とした美しさ」が生まれ、ホテルライクな雰囲気を担保できます。

次に、ソファやリビングテーブル、テレビボードなどを背の低いロースタイルのものに統一すると、視線が下がり、天井が高く感じられるため、空間全体が広く感じられます。

【8〜10畳】リビングを広く見せるソファ選び。最適な寸法と「生活動線」の作法

8畳から10畳程度のコンパクトなリビングでは、ソファ選びが重要になります。

ソファは、通路となる生活動線を確保するために、二人掛け(幅140〜160cm程度)にオットマンを組み合わせるか、片アーム(片側にしか肘掛けがない)のデザインを選ぶことで、通路幅を広く確保できます。

リビングテーブルは、奥行きが浅めのものや、丸い天板のものを選ぶと、角がない分、回遊性が上がり、窮屈さを感じさせません。

また、テレビはテレビボードに置くのではなく、壁寄せスタンドや壁掛けにすると、床の面積を確保できます。

ミラー(鏡)と「縦ライン」を効かせる視覚テクニック

視覚的に空間を広く見せるテクニックとして、ミラー(鏡)や「縦ライン」を効果的に使う方法があります。

リビングに大型のミラーを設置する場合、窓や光源の対面になる位置に置くと、光を反射して部屋が明るくなり、空間が奥に続いているように見えるため、実際の広さの2倍近くに感じられます。

また、窓にかけるカーテンは、天井ギリギリから床まで長く垂らし、縦のラインを強調すると、天井が高く感じられる効果があります。

間接照明を用いる際も、上方向や下方向に光を当てることで、壁の陰影を引き立て、空間を視覚的に拡張できます。

これらのテクニックを活用すれば、狭さによるストレスが緩和され、リラックスできる時間が増えます。

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賃貸で実現するホテルライクなリビング|原状回復OKなアイテムと注意点

賃貸では、原状回復が可能な「照明・ラグ・カーテン」の3大アイテムを見直すのが効果的です。

「貼ってはがせる壁紙」や「アート」で壁にアクセントを加え、生活感は「置き型収納」や「布製品」で隠します。

家具は「色数を絞り」「ロースタイル」で統一し、「香り」で五感を満たすことで、工事なしでも上質な空間を実現できます。

「原状回復OK」な照明・ラグ・カーテン選びのセオリー

賃貸で空間の印象を激変させるには、照明、ラグ、カーテンの3大アイテムを見直すことが効果的です。

照明は、天井のシーリングライトは使わず、スタンドランプ、フロアランプ、テーブルランプなど、コンセントで使える「多灯」を導入して陰影を作ります。 

ラグは、部屋の床の色(例えば明るいフローリング)を大判ラグで覆い、ラグの色で空間のベースカラーをコントロールしましょう。手軽に統一感を出せます。

カーテンは、天井高を強調するように、天井レールから床まで届く長い丈と、壁に馴染む色(白、アイボリー、グレーなど)を選ぶだけで、格段に空間のグレードが上がります。

「貼ってはがせる壁紙」「フロアタイル」「アート」の活用術

賃貸の壁や床に高級感を演出するには、「貼ってはがせる壁紙」や「フロアタイル」が有効です。 

特に、テレビ背面やリビングの梁(はり)の下など、目立つ場所だけに面積を限定して、石目調や木目調の貼ってはがせる壁紙やタイルを貼ると、手軽に陰影を創出できます。

また、アート(絵)も壁に非日常感と個性を加える手軽なアイテムです。大判のアートを1点、ソファ背面やTVボード横など、リビングの主役となる壁に飾りましょう。

アートの中心が床から140〜150cmになるように飾るのが基本です。

さらに、ケーブルボックスや配線モールを使って、露出する配線を徹底的に「見せない」ように隠蔽すれば、生活感を排除できます。

貼ってはがせる製品の注意点

貼ってはがせる製品であっても、使い方を誤れば、退去時にトラブルになることがあります。

主なトラブルは剥がす際の「下地(壁紙・床材)の破損」「粘着剤の“のり残り”・変色」です。

壁紙の場合、特に紙・布クロスや劣化したビニールクロス、塗装壁は、粘着力に負けて下地ごと剥がれてしまい、高額な修繕費用が発生するケースがあります。

フロアタイルの場合も、元の床が柔らかいクッションフロアだと、タイルの重みや家具による「凹み跡」が残るケースや、湿気による「カビ」の発生に注意が必要です。

対策

トラブル回避のために、まず目立たない場所、例えば壁紙は家具の裏側、フロアタイルは部屋の隅などで「事前テスト」を行いましょう。

1〜2日後に剥がしてみて、下地の異常や粘着剤の残りがないかをしっかり確認してください。

または、壁紙を貼る前に「壁紙用の養生テープ」で下地を保護したり、フロアタイルは重力で固定する「置くだけタイプ」や、元の床材を守る「下敷き保護シート」を使いましょう。

「置き型収納」と「布製品」の上手な使い方

賃貸では造作収納ができないため、置き型の収納家具でいかに生活感を隠蔽するかがポイントになります。

収納を選ぶ際は、フラップ扉や引き戸など、中身の色(カラフルな中身)を隠せるデザインを選んでください。

また、ソファ周りの「布製品」も生活感が出やすいポイントです。色や柄がバラバラのクッションカバーは、「白・グレー・ベージュ」などベースカラーで厳密に統一しましょう。

ソファに掛けっぱなしのブランケット(ひざ掛け)も、クッションと同系色の上質な素材感のものを選ぶだけで、空間は一気に整って見えます。

LDKの写真。茶色の革製ソファと木製テーブルが置かれ、奥には木製カウンターのキッチンが見える。壁は薄いグレーで床は木製。

「色数を絞る」ことと「ロースタイル家具」で統一する技術

狭い賃貸を広く見せ、ホテルライクな印象にするためには、ここでも「色数を3色以内に絞る」ことと「ロースタイル家具」で統一する技術が効果的です。

色と物量をコントロールし、家具は背の低いもの(ロースタイル家具)に統一すれば、空間に視線の抜けと軽快さが生まれます。

テーブルの天板は薄く、脚は内側に配置するなど、家具そのものにも抜け感のあるデザインを選びましょう。

大型のミラーなどを活用して光量と広がりを補強すれば、限られた予算でも「ダサ見え」を回避し、掃除しやすい上質な空間にできます。

「香り」と「観葉植物」で五感を満たす

高級ホテルのロビーやラウンジは、上質な「香り」で満たされています。視覚だけでなく「嗅覚」もホテルライクに演出しましょう。

リビングにはディフューザーを設置し、ウッディ系やホワイトティー系など、甘すぎず清潔感のある香りで「非日常感」を加えます。

また、大ぶりな枝ものなどの「アートプランツ(フェイクグリーン)」を置くだけでも、空間を引き締めるアクセントとして十分に機能します。

賃貸物件はリノベできる?原状回復可能なDIYアイデアや注意点を解説

リフォーム・リノベーションで実現する、理想の「ホテルライクなリビング」

ダイニングキッチンの写真。手前にキッチンシンク、奥に青いベンチと白いテーブルが置かれている。壁はピンク色で、白いペンダントライトが吊り下げられている。

リフォームやリノベーションは、賃貸や部分的なDIYでは実現できない、根本的な「間取り変更」と「造作」を可能にします。

老朽化や収納の少なさなどの根本的な悩みを解消しつつ、間接照明や壁面造作収納を計画することで、日々の暮らしに寄り添う、本格的なホテルライクなリビングが実現できます。

「LDK」を一体化する間取り変更。リビングに「視線の抜け」と開放感を設計する

リノベーションで開放感を設計する基本は、隣接する和室や壁付けキッチンとの「壁を撤去」し、LDKを一体化することです。

壁がなくなることで「視線が抜ける」ようになり、実際の畳数以上の圧倒的な開放感が生まれます。空間を遮るものを減らし、「余白の設計」をすることが土台となります。

ただし、マンションの構造壁(壊せない壁)や戸建ての耐震に関わる壁があるため、事前に専門家と確認しましょう。

テレビ配線や小物を隠す「壁面造作収納」の設計方法

リノベーションであれば、賃貸では難しい配線やルーター類も、根本的かつスマートに隠蔽(いんぺい)できます。

効果的な方法が、リビングの生活感の源(AV機器、書類、掃除道具など)をすべて隠す「壁面造作収納」です。

テレビボードを床から浮かせた「フロートデザイン」にすると、床面積が広く見え、浮遊感が生まれるため、高級感を演出しやすくなります。

収納の扉の素材や色を壁紙と合わせる「ノイズレスデザイン」も、収納が壁に溶け込み、存在感を消すことができます。

アクセントウォールに最適な「石・タイル」の選び方

ホテルライクな空間の上質さの決め手は、「テレビの背面」や「ソファの背面」に採用するアクセントウォールです。 

「本物の素材」を選ぶことが重要で、重厚感のある大判セラミックタイルや天然石、陰影が美しいエコカラット、温かみのある無垢材(突板)などが人気です。

選んだ素材の「質感」が際立つように、間接照明とセットで計画するのが基本です。

失敗しないリノベ素材選びのコツ|プロが教えるポイントと実例集

天井やテレビ裏に設置する「間接照明」の計画方法

ホテルライクな空間は、日本の住宅に多いシーリングライト(一室一灯)を避け、「陰影」でつくることが基本です。

リノベーションだからこそできるのは、天井を一段掘り上げる「折り上げ天井」や、壁を照らす「コーニス照明」を採用し、空間に立体感と奥行きを出すことです。

また、造作テレビボードの「上下」や「テレビ裏」にライン照明を仕込むことで、アクセントウォールを美しく照らし、テレビが壁から浮いているような浮遊感を演出できます。

生活に必要な明るさはダウンライトで確保し、間接照明はリラックスするための「飾り・演出の光」として使い分けることが重要です。

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リノベーションで実現した「ホテルライクなリビング」実例3選

ホテルライクなリビングのリノベーション実例として、3つの異なるアプローチをご紹介します。

1つ目は「白」を基調に素材感で魅せたクリーンな空間、2つ目は「石材アクセントウォール」と間接照明で上質さを演出した空間、3つ目は「暗さ」を活かす照明計画でバーラウンジのように仕上げた大人の空間です。

【実例1:配色】「白」を基調に統一。素材感で魅せるクリーンなリビング

白を基調としたLDKの写真。床は大理石調のタイル張りで、白いダイニングテーブルと白いアイランドキッチンが置かれている。

白を基調としたテイストがお好みのお施主様のこだわりが詰まった、洗練されたリビングです。

リビングは、キッチン、天井、床タイルも「白」で統一され、まとまりのある空間になっています。お施主様がご自身で商品を組み合わせたオリジナルキッチンも設置されました。

こだわりポイントとして、玄関土間から全ての居室まで、リビングと同じ床材を使用していることです。床材を統一したことで、空間全体にまとまりが生まれています。

【配色のポイント】 

この事例は、色数を3色以内に絞る原則を、白一色を基調にすることで高度に実現しています。 

白一色では単調になりがちですが、床の「大理石調の模様」や、お客様が選んだオリジナルキッチンの素材感がアクセントとなり、空間に豊かな表情を与えています。

色数を増やさず、「素材感」で単調さを回避する、まさにお手本となる配色事例です。

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この事例を担当したのは、ANRI STYLE/リノベ図書館です。事例のようなリノベーションを希望している方は、ぜひお気軽にANRI STYLE/リノベ図書館へご相談ください!

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【実例2:素材と光】石材アクセントウォールと間接照明で「上質さ」を演出

グレーのタイル(エコカラット)を貼った壁があるリビング。壁掛けテレビ、テレビ台、ガラスのコーヒーテーブルが置かれている。

こちらは、中古戸建ての内装をモノトーンで統一し、シックに仕上げたリビングです。 

リビングの壁には「エコカラット」を貼り、重厚感を出し、さらに間接照明を入れ、落ち着いたリビングになりました。

【素材と光のポイント(解説)】 

「アクセントウォール」と「間接照明」を組み合わせ、上質さを演出するお手本のような事例です。

色数をモノトーンに絞り込む一方で、アクセントウォールに「エコカラット」という素材感のあるタイルを採用しています。

凹凸を「間接照明」の光が美しく照らすことで、壁面に豊かな陰影が生まれ、テレビ周りがドラマチックでホテルライクな空間に仕上がっています。

この事例を詳しく見る

この事例を担当したのは、リノベーション東京です。事例のようなリノベーションを希望している方は、ぜひお気軽にリノベーション東京へご相談ください!

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【実例3:陰影】「暗さ」を活かす照明計画。バーラウンジのような大人の空間

照明を落としたLDKの写真。手前に木製のアイランドキッチンカウンターとバースツールが置かれ、奥のリビングにはラウンジチェアが配置されている。

こちらは、分譲マンションの3LDKを、単身世帯向けに大胆な1LDKへとフルリノベーションした事例です。 

「家は気分」と考えるお施主様のテーマは『LIKE A HOTEL』

空間のデコレーション(装飾)をあえて避け、上質なデザインアイテムたちが活きるような間取りと空間に仕上げられています。

【陰影のポイント】

「『暗さ』を活かす照明計画」を、まさに体現したお手本のような事例です。

一般的な天井照明(シーリングライト)で空間全体を均一に明るくするのではなく、スポットライトやフロアランプ、キッチンのダウンライトなど、複数の光を点在させて使い分けています。

必要な場所だけを意図的に照らし、あえて「陰影」を作ることで、デコレーションに頼らずとも空間に深みと上質感が生まれています。

お施主様が目指した「好きなものに包まれて非日常な生活を過ごすための上質な空間」が、照明計画によって見事に実現されています。

この事例を詳しく見る

この事例を担当したのは、ひかり工務店 - KIRARI -です。事例のようなリノベーションを希望している方は、ぜひお気軽にひかり工務店 - KIRARI -へご相談ください!

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ホテルライクなリビングに関するQ&A

ホテルライクなリビングの実現を検討する際、特に子育て中の方や、日々のお手入れに対する疑問は尽きません。この章では、多くの方が抱える質問にお答えします。

よくある質問

Q. 子どもやペットがいても、ホテルライクなリビングは実現できますか? 

A. 実現できます。「傷や汚れに強い素材」を選ぶことと、「オープン収納を減らす」工夫が重要です。

例えば、傷に強い複合フローリングや、ペットの爪に強い腰壁(こしかべ)、ひっかき傷に強い壁紙を選びましょう。

おもちゃなどは、フタ付きのボックスにまとめて収納に隠しましょう。

Q. 狭いリビング(8畳など)でも、ホテルライクにできますか?

A. 可能です。記事の本文(「狭いリビングの章」)でも解説したように、背の低い「ロースタイル」の家具で圧迫感を減らし、通路(生活動線)をしっかり確保することが重要です。

また、大きな鏡(ミラー)を設置して空間を広く見せたり、カーテンを天井から垂らして「縦のライン」を強調したりする視覚的なテクニックも有効です。

「本物」の上質さを求めるなら。リノベーションで叶えるホテルライクなリビング

この記事では、ホテルライクなリビングを実現するための具体的なテクニックを、ソフト面(配色・レイアウト)からハード面(リノベーション・造作)まで幅広く解説しました。

 賃貸や部分的なDIYでも、照明や素材選びの工夫で雰囲気づくりは十分に楽しめます。

もし、「視線の抜け」「生活感の根絶」「間接照明の組み込み」などの、根本的な空間の上質さを追求するなら、リノベーションも一つの有力な選択肢となります。 

特に、築年数が経過した住まいであれば、老朽化の解消と同時に、造作収納や間取り変更によって「これからの暮らしにフィットする空間」を手に入れる良い機会にもなります。

「フルリノ」は、お客様の「憧れの世界観」を深く理解し、具体的な間取りや素材に落とし込める、信頼できる全国の施工会社と出会うためのお手伝いをしています。 

「ホテルライクな空間づくりに実績のある会社を探したい」「予算内でどこまで理想を実現できるか知りたい」場合は、理想のパートナー探しに「フルリノ」をご活用ください。

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記事を書いた人
株式会社フルリノ 代表取締役 開原崇友

株式会社フルリノ 代表取締役 開原崇友

建築系ベンチャーにて、組織づくりや新規事業立ち上げに従事。 また、建築会社やスタートアップ企業の事業戦略・人事コンサルタントとして、さまざまな企業の支援にも。 長きに渡る建築業界での経験から、建築プラットフォームを構想。フルリノ!を立ち上げる。

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