家（土地あり）の建て替えにかかる費用相場を解説｜注意点やリフォームとの違いを解説

「家の建て替え費用の相場がわからず、予算が立てられない」

「リノベーションと建て替え、どちらを選ぶべきか悩んでいる」

「建て替えに必要な費用の内訳を知りたい」

家の建て替えを検討している方なら、上記のような悩みを抱くのではないでしょうか。

本記事では、家（土地あり）の建て替えにかかる費用相場やリノベーションと リフォームの違い、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

家の建て替えを検討している方、建て替え費用が気になる方はぜひ最後までご覧ください。

なお、「フルリノ！」では、厳選されたリノベーション会社の施工事例や具体的な費用相場を確認できます。

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家（土地あり）の建て替えに必要な費用相場

家の建て替えにかかる費用の全国平均は3,299万円です。自己資金比率は55.4%で、残りは住宅ローンなどの借入で賄われています。

具体的な費用の内訳は以下のとおりです。ただし立地や地域ごとで費用は変動します。

参考：国土交通省 住宅市場動向調査報告書

執筆時点（2024年11月）では、建築資材の高騰により費用増加が予想されています。

家の建て替えにかかる費用の内訳

家の建て替えにかかる主な費用は、以下の項目に分類されます。

• 建築費
• 解体工事費
• 地盤調査費・地盤改良費
• 仮住まい・引越し費用
• 税金・諸費用

各費用を詳しく解説していきます。

建築費

建築費は全体の約70%を占める最大の支出です。木造住宅の平均坪単価は以下のように分類されます。

設計費用は、建築費全体の5〜20%が追加で必要です。ハウスメーカーは5～10%、建築事務所では10～20%が一般的な設計料率です。

解体工事費

既存住宅の解体費用は構造や規模で異なります。標準的な解体費用は以下のとおりです。

立地条件次第で追加費用が発生するケースもあります。狭小地や車両進入制限がある場合、標準価格から20〜30%の費用増加が見込まれます。

また、塀や庭石などの付帯設備の撤去費用も考慮が必要です。相見積もりを取ると、平均15%程度の費用を削減できます。

地盤調査費・地盤改良費

建築確認申請には地盤調査が必須です。調査方法別の費用は以下のとおりです。

改良工事が必要な場合、建て替え総額の5〜15%の追加費用を考慮した計画が必要です。

仮住まい・引越し費用

引越し費用の相場は以下のとおりです。

また、仮住まいの家賃相場は以下のように分類されます。

建て替え工期が平均6ヵ月かかるのを考慮すると、仮住まい費用は総額で100～150万円が必要です。

税金・諸費用

建て替えにともなう税金・諸費用は以下のような内訳です。

上記の内訳から、税金や諸費用の総額は、建て替え費用全体の5〜10%を見込んでおいた方がよいでしょう。

また、固定資産評価額や借入金額で変動するため、余裕を持った計画が大切です。

家の建て替えとリノベーション・リフォームとの違い

住宅の改修を検討する際、建て替えとリノベーション・リフォームで迷われる方は多いのではないでしょうか。

どちらも住まいを新しく生まれ変わらせる方法ですが、アプローチには大きな違いがあります。

本章では、建て替えとリノベーション・リフォームの違いをわかりやすく解説するので、ぜひ、ご自宅や物件改修の参考にしてください。

リノベーションとの違い

建て替えは、既存の住宅を基礎部分を含めてすべて解体し、新たに新築する方法です。予算があれば、高性能の耐震・断熱性能にすることも可能です。

一方、リノベーションは、住まいの機能や価値を高めるために用いられる改修です。主に基礎部分を残したまま既存の住宅を改修し、性能やデザインの向上が期待できます。

加えて、住宅の骨組みを活かしつつ、内外装や設備を新しくするため、建て替えより費用が低く、工事期間が比較的短くなる傾向があります。

 リフォームとの違い

リフォームは既存の基礎を活かしながら、部分的に改修や修繕を行う方法を指します。よくある事例としては、外壁の塗り直し、和式トイレから洋式トイレへの変更、壁紙の張り替え、 システムキッチンやユニットバスの入れ替えなどが挙げられます。

一から設計が可能な建て替えと比べ、間取りやデザインなどの自由度が低いデメリットがありますが、リノベーションと同じく建て替えより費用がかからず、工事期間が短くなるメリットがあります。

とはいえ、リフォームも何度も繰り返すことで費用はかさむため、長期的に見てどちらが経済的か慎重に検討しましょう。

家の建て替えは相場2,000万円以下でも可能？

2024年11月現在、建築資材価格と人件費の高騰により、2,000万円以下での家の建て替えは難しくなっています。

30坪以上の戸建て住宅の建て替えでは、以下の費用が最低限必要です。

2,000万円以下で実現する場合は、以下のような制約や妥協が必要です。

• 延床面積を25坪以下に抑制
• 設備や内装材を最低限のグレードに限定
• デザイン性や収納などの機能性を簡素化

予算内で工事したいならリノベーションも視野にいれよう！事例も紹介

家の建て替えには大きな費用がかかります。予算内に収めたい方は、リノベーションを検討しましょう。本章では、「フルリノ！」で実際におこなった、リノベーション成功事例3選を紹介します。

• 事例①【予算1000万円】家事動線もバッチリ◎広々ランドリールームがあるお家
• 事例②【予算1500万円】家とお店の良いとこ取りなお家づくり
• 事例③【予算2000万円】昔ながら趣〟を程よく残しつつ、性能を大幅に向上させた「店舗×住宅」

それぞれ詳しく解説します。

事例①【予算1000万円】家事動線もバッチリ◎広々ランドリールームがあるお家

一つ目は、築26年の祖母から譲り受けた自宅を二世帯住宅にするために、二階部分をリノベーションした事例です。シャワールームとトイレのみの2階に、キッチンや洗面台、ランドリールーム、ユニットバスなどを新設しました。

【こだわりポイント】

• キッチン裏に洗面台とランドリールームを配置し家事導線を考慮
• WICやパントリーも新設し、収納を充実

水廻り空間の移動距離を短くし、効率的に家事ができる設計にしました。自然光がたっぷり入る、気持ちのよい空間に仕上がっています。

リノベーションの詳しい内容や各間取りの写真を見たい方は、以下の記事をご覧ください。

事例②【予算1500万円】家とお店の良いとこ取りなお家づくり

二つ目は、築43年の戸建てを「木のぬくもりを感じられる遊び心のあるお家創り」をコンセプトにリノベーションした事例です。

【こだわりポイント】

• 1階LDKの空間にデザインした格子・オープン階段
• コンクリートブロックを積んだキッチン

「事務所兼自宅にしたい」という要望から遊び心があふれ、お客様を招くのが楽しみになる間取りとデザインに変身しました。

リノベーションの詳しい内容や各間取りの写真を見たい方は、以下の記事をご覧ください。

事例③【予算2000万円】昔ながら趣〟を程よく残しつつ、性能を大幅に向上させた「店舗×住宅」

三つ目は、築45年の町屋をコンセプトハウスとしてフルリノベーションした事例です。町屋らしさは残しながら、断熱・気密性や耐震性を大きく向上させた「店舗×住宅」に仕上げました。

【こだわりポイント】

• 床・壁をグレーで統一することで、何を置いても映える空間に
• リビング・ダイニングに大きな窓を設け、自然光がたっぷり入る設計
• 収納も十分に用意して抜群の使い勝手に

レトロさとモダンさを融合させた装いと、快適・安心な性能が備わった、物件の価値を高めるリノベーションができました。

リノベーションの詳しい内容や各間取りの写真を見たい方は、以下の記事をご覧ください。

建て替え費用を抑えるコツ

家を建て替える際、できることならなるべく費用は抑えたいものです。建て替え費用を抑えるコツは、以下の通りです。

• 国や自治体の補助金や助成金を活用する
• 建て替えの間取りをシンプルにする
• 工事に使う建材をリーズナブルなものにする

それぞれ詳しく解説するので、予算内でリノベーションを行う手段としてご活用ください。

国や自治体の補助金や助成金を活用する

住宅の建て替えにあてられる補助金や助成金は、定められた適用要件を満たしていれば活用できます。

補助金は、国や自治体の政策目標に合わせて、さまざまな分野での取り組みをサポートするために、資金の一部を給付するものです。受給には指定期間内に応募し、審査を通過する必要があります。

一方、助成金は研究や事業などの遂行を支援するために支給されます。補助金との大きな違いは、一定の要件を満たしていれば必ず支給されます。

補助金や助成金は、返済の義務もなく建て替えの費用負担を軽減できるため、利用できる制度があれば積極的に利用しましょう。

また、補助金には「建て替え前の家に対する補助金」と「建て替える家に対する補助金」の2つがあります。それぞれ詳しく解説します。

建て替え前の家に対する補助金

家を建て替える前にもらえる補助金には、「解体補助金」や「建て替え建築補助金」などの解体費にあてられる補助金があります。

空き家や築年数の古い家を解体して新たに建て直す場合、助成を行う自治体が増えているため補助金を受け取りやすいです。

家の解体だけでなく、塀などの外壁を新しくする際に発生するブロック塀の解体費用の補助金もあります。家の建て替えと同時に、塀などの外壁も新しくする場合は、ブロック塀の解体補助金についても自治体へ問い合わせることをおすすめします。

まずは住んでいる地域で解体費用の補助金があるか、調べてみてください。

建て替える家に対する補助金

建て替える家に対する補助金には、環境に配慮した設備を新設した場合にもらえる補助金があります。全国の自治体で助成対象として多い設備は以下の通りです。

建て替え時の新設で助成が受けられる主な設備

　●省エネ給湯器の導入

　●ZEH支援事業・システムの導入

　●太陽光発電設備

　●合併浄化槽の設置

　●雨水タンクの設置

　●家庭用燃料電池システムの導入

また新築住宅を購入する際、一定の省エネ性能やZEH水準を満たすと住宅ローン控除の対象となるため、あわせて確認しておくことをおすすめします。

他にも、昭和56年5月以前の建築基準法に適合している木造住宅では、耐震強度が不十分なことが多いため、耐震化をともなう建て替えの場合には補助金がもらえます。

自治体によって上限金額や条件が異なるため注意してください。

建て替えの間取りをシンプルにする

家を建て替える際、間取りをシンプルにすることも費用を抑えるポイントになります。間取りをシンプルにすれば、壁の数を減らせるため建材や施工時間も減り、工費も抑えられます。

また部屋の形状を長方形や正方形にすることも、施工の手間と材料費を抑えられるのでおすすめです。

シンプルな間取りや形の住宅は、その後のメンテナンスもしやすくなり、修繕費用も安価に抑えられるメリットもあります。お金をかける部分と、そうでない部分のメリハリをつけることが、建て替え費用を抑える大きなポイントです。

工事に使う建材をリーズナブルなものにする

建て替えをおこなう際、工事に使用する建材をリーズナブルなものにすると費用を抑えられます。せっかくの建て替えでいろいろとこだわりたいところですが、ポイントを絞っておくとコスト削減につながります。

住宅に使われる木材には「集成材」と「無垢材」の2種類があり、ローコスト住宅では集成材が使用されるケースが多いです。また「国産」と「外国産」によっても値段が変わります。

木目の美しさや、割れにくさなどの特徴も異なるため、優先度を決めて選ぶことをおすすめします。

建て替え時の注意点

家を建て替える際は、いくつかの注意点があります。新築時と異なり、追加で考えられる費用は以下の3つです。

• 建物を解体する費用
• 登記簿を新たに取る費用
• 劣化した排水管や水道管の交換費用

解体費用は、土地や既存住宅の状態によって異なります。基礎が大きかったり、処分費用がかかるアスベストが使われていたりすると、想定よりも解体費用が高額になる可能性があります。配管や水道管が劣化していた場合は、新設が必要です。また、家が建て替わることで新たに登記簿を取る必要もあり、手続き畳の費用もかかるため注意が必要です。

他にも、「地盤改良費」が必要なケースや、そもそも「再建築不可物件」のケースもあるので事前に調べておきましょう。

家の建て替えをする3つのメリット

家の建て替えには以下のメリットがあります。

• 理想の間取りやデザインを実現しやすい
• 最新の耐震・断熱性能を導入できる
• バリアフリー化や高齢者対応の設計がしやすい

それぞれの内容を詳しく解説します。

理想の間取りやデザインを実現しやすい

家の建て替えでは、既存の構造に縛られない自由な設計が可能です。家族構成や生活スタイルに合わせて、収納計画から動線設計まで細部にわたる要望を反映できます。

新築時の自由度で間取りを決められると、居住満足度の向上にもつながります。特に水回りの配置や収納計画は、家族構成や将来的な変化まで考慮した理想的な設計が可能です。

また、デザイン面でも、外観から内装まで一貫したコンセプトを実現できます。素材の選定や色調の統一など、細部まで希望通りの空間づくりができ、資産価値の向上にもつながります。

最新の耐震・断熱性能を導入できる

最新の住宅性能基準に適合した家の建て替えでは、地震や災害に強い安全な住まいを実現できます。

耐震等級3相当※の性能で、震度6強以上の地震にも耐えられる構造での建て替えが可能です。※耐震等級1（建築基準法の耐震性能を満たす水準）の1.5倍水準

また、高性能な断熱材や複層ガラスを採用すると、冷暖房費の削減も期待できます。特に、外壁や屋根、基礎部分まで一貫した断熱設計ができれば、結露の防止や室温の安定化を図れます。

さらに、最新の遮音技術や気密性能の向上で、外部騒音を軽減すると、快適な室内環境を確保できるでしょう。

家の建て替えを行えば、太陽光発電システムやヒートポンプ給湯器など、最新の省エネ設備も導入しやすく、SDGsやカーボンニュートラルに貢献できる住居も実現可能です。

バリアフリー化や高齢者対応の設計がしやすい

家の建て替えでは、最初から将来の介護や加齢に備えた設計を組み込めます。加えて緊急時の動線確保や、照明計画での視認性の向上など、安全面での配慮も徹底できます。

将来を見据えるのであれば、段差のない床面や適切な手すりの設置など、バリアフリー化を取り入れるといいでしょう。

廊下幅の確保や開口部を拡張すると、スムーズに車椅子の移動もできます。

特に浴室やトイレは、介助スペースの確保や手すりを適切な場所に配置すると、安全性と使いやすさを両立可能です。

また、キッチンや洗面所も作業がしやすい高さに設定でき、収納も手の届きやすい位置に配置できます。

家の建て替えをする3つのデメリット

家の建て替えでは、以下のデメリットも考慮しなければなりません。

• 高額な費用が必要
• 工期が長く仮住まいが必要
• 手続きや打ち合わせが多く煩雑

各項目を具体的に解説します。

高額な費用が必要

家の建て替えには、一般的な住宅リフォームよりも多くの費用が必要です。

標準的な30坪の住宅の場合、建築費だけで1,500〜3,000万円かかります。このため、解体費用や諸経費を含めると総額4,000万円近くまで膨らむケースも珍しくありません。

特に既存の住宅ローンが残っている場合は、二重ローンで月々の返済負担が大きくなる可能性もあります。

また、近年の建築資材高騰の影響で、建築費は年々上昇傾向で、今後も価格上昇が予想されています。

工期が長く仮住まいが必要

家の建て替え工事の標準工期は、解体から完成まで3〜8ヵ月を要します。

建築確認申請や近隣への説明期間を含めると、着工までに2〜3ヵ月の準備期間が必要で、全体では約1年の期間を想定しなければなりません。

工事期間中の仮住まい費用は、都市部では月額15〜20万円、地方では10〜15万円が相場です。

また、引越し費用が2回分（仮住まい入居時・新居入居時）で20〜30万円、家財の一時保管費用が月額2〜3万円必要で、仮住まい関連の総費用は平均200万円を超えます。

さらに、天候不順や資材調達の遅延で、工期が当初の予定より2〜3ヵ月延びるケースも珍しくありません。

何らかの要因で工期の延長が発生するケースもあるため、仮住まいの期間延長で発生する追加費用の考慮も必要です。

手続きや打ち合わせが多く煩雑

家の建て替えには、以下のような複数の行政手続きと関係者との調整が必要です。

また、上記の手続きにともなう平均的な負担は以下のとおりです。

申請や手続きなどで2〜4週間、設計打ち合わせは2〜3ヵ月の期間を要します。

家の建て替えの際は、手続きにかかる期間も考慮しつつ、余裕を持ったスケジューリングが重要です。

家の建て替えよりも予算を抑えられるリノベーションも視野に入れよう

リノベーションは、コストを抑えられるだけでなく、愛着や思い出を残すことができる、魅力的な改修方法です。

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