築30年の一戸建ての固定資産税、いくらか気になりますよね?
この記事では、その疑問を解消するため、固定資産税の基本から計算方法、築年数による変化まで詳しく解説します。
さらに、税負担を軽減する特例措置や、中古住宅で固定資産税が安い物件の特徴もご紹介。
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固定資産税とは?

土地や建物を所有している場合、毎年必ず発生するのが固定資産税です。
これは不動産が所在する市町村に納める地方税で、土地と建物のそれぞれに対して課税されます。
固定資産税の主な特徴は以下の2点です。
- 土地と建物それぞれに課税される: 税額計算の基となる評価額が土地と建物別々に算出されます。
- 経年により建物部分の税額は減額傾向にある: 建物の価値は年々下がると評価されるため、それに伴い税額も下がっていきます。
土地と建物それぞれに対して課される税金
固定資産税は、土地と建物のそれぞれに対して課される地方税で、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に納税義務が生じます。
税額は、土地と建物それぞれに定められている「固定資産税評価額」を基に算定されます。
この評価額は3年に一度見直され、所有者には毎年、通常4月から6月頃に市町村から納税通知書が送付されます。
納税通知書に記載された納期限までに、指示に従って税金を納める必要があります。
納税方法は、納付書による現金払いのほか、口座振替やクレジットカード払い、スマートフォン決済アプリなどに対応している自治体も増えています。
経年によって固定資産税は減額していく
固定資産税は毎年支払う必要がありますが、その税額は購入時の価格ではなく「固定資産税評価額」に基づいて算出されます。
特に建物は、経年劣化によって資産価値が下がると評価されるため、固定資産税評価額も年々低くなり、それに伴って税額も基本的には減額していきます。
これは「経年減価補正率」という指標を用いて計算され、例えば木造戸建て住宅の場合、築年数が経過すると評価額は徐々に下がり、最終的には再建築費用の20%程度まで評価額が下がることが一般的です。
ただし、土地の評価額は経年劣化の影響を受けないため、地価の変動がない限りは基本的に変わりません。また、新築住宅など特定の条件を満たす場合は、税額が軽減される特例措置が適用されることもあります。
関連記事:リノベーションする際に気になる固定資産税についてまとめた記事はこちら
固定資産税の費用平均相場

固定資産税の額は、所有する不動産の種類や所在地、築年数などによって大きく異なります。
一般的な目安として、どのくらいの費用がかかるのか気になるところかと思います。
ここでは、代表的な住居である「一戸建て」と「マンション」に分けて、それぞれの固定資産税の平均的な相場を解説します。
ただし、あくまで目安であり、個別の状況によって税額は変動するため、参考程度に考えてください。
一戸建て
一般的に、一戸建てにかかる年間の固定資産税は、平均して10万円から15万円程度が相場とされています。
ただし、あくまで目安であり、実際の税額は多くの要因によって変動します。
例えば、物件の所在地(都市部か郊外か)、建物の構造(木造か鉄骨かなど)、築年数、土地の広さ、周辺の地価などが税額に影響を与えます。
月額に換算すると、おおよそ1万円強の負担となると考えられます。
一戸建ては、マンションと比較して建物の評価額が下がっていくスピードが速い(減価償却期間が短い)傾向があるため、築年数が経過するにつれて固定資産税の負担が軽減されやすい特徴があります。
マンション
マンションの場合、年間の固定資産税の平均相場は8万円から12万円程度といわれています。
一戸建てと同様、立地や建物のグレード、築年数、専有面積などによって変動します。
マンションの大きな特徴は、土地が「区分所有」である点です。
敷地全体の評価額を、各住戸の専有面積の割合に応じて按分したものが、それぞれの土地の評価額となります。
建物は、鉄筋コンクリート造など頑丈な構造が多く、木造の一戸建てに比べて耐用年数が長く設定されています。
そのため、建物の評価額の下落は緩やかで、結果的に固定資産税が高くなる傾向があります。
特に、タワーマンションの高層階などは眺望などの付加価値も評価され、税額が高くなることがあります。
固定資産税の計算方法

固定資産税の税額は、以下の計算式で算出されます。
固定資産税 = 課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)
「課税標準額」とは、税額計算の基礎となる金額のことで、基本的には「固定資産税評価額」に基づいて決定されます。
固定資産税評価額は、土地と建物をそれぞれその時点での適正な時価として市町村が評価した額です。
ただし、居住用の建物が建っている土地(住宅用地)には税負担を軽減するための特例措置が適用されるため、課税標準額が固定資産税評価額よりも低くなるのが一般的です。
この特例措置により、土地の面積に応じて評価額が1/6または1/3に減額されます。
税率は多くの自治体で標準税率の1.4%が採用されていますが、自治体によっては異なる場合もあります。
土地の固定資産税の計算方法
土地部分の固定資産税は、その土地の「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。
基本的な計算式は以下の通りです。
土地の固定資産税額 = 土地の課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)
ここで重要なのが「住宅用地の特例措置」で、居住用の建物が建っている土地の場合、課税標準額が大幅に軽減されます。
具体的には、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は評価額の1/6に、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は評価額の1/3になります。
例えば、評価額2,000万円、面積150㎡の土地(小規模住宅用地)の場合、課税標準額は2,000万円 × 1/6 ≒ 333万円となり、固定資産税額は 333万円 × 1.4% = 46,620円 となります。(特例がない場合の28万円と比較して大幅に安くなります。)
建物の固定資産税の計算方法
建物部分の固定資産税は、その建物の「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。
計算式は以下の通りです。
建物の固定資産税額 = 建物の課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)
建物の課税標準額は、原則として固定資産税評価額と同額です。
この評価額は、法務局の登記情報や家屋調査の結果をもとに、再建築価格(同じ建物を新築した場合の費用)に経年劣化による価値の減少(経年減価補正率)を考慮して算出されます。
例えば、建物の固定資産税評価額(課税標準額)が1,500万円の場合、税率1.4%を掛けると、 1,500万円 × 1.4% = 21万円 となり、この建物の固定資産税額は21万円となります。
築年数別の固定資産税の計算シミュレーション例
実際の固定資産税額は、物件の状況によって大きく異なります。
ここでは、築年数の違いによる税額の変化をイメージしやすくするために、具体的な条件を設定してシミュレーションしてみましょう。以下の3つのケースで比較します。
- 新築物件
- 築30年の中古物件
- 築40年の中古物件
築年数以外の条件は、次のように統一します。
- 構造: 木造一戸建て
- 購入価格: 3,000万円
- 価格の内訳: 建物1,800万円(6割):土地1,200万円(4割)
- 敷地面積: 150㎡(小規模住宅用地に該当)
※計算を簡略化するため、固定資産税評価額を購入価格の70%とし、税率は標準税率1.4%とします。
また、経年減価補正率は考慮しますが、土地評価額の変動はないものとします。
3000万の新築一戸建て(土地面積200㎡以下)の固定資産税の計算シミュレーション例
まず、新築物件の場合の固定資産税額を計算します。
- 土地の評価額: 1,200万円 × 70% = 840万円
- 土地の課税標準額: 840万円 × 1/6(小規模住宅用地特例)= 140万円
- 土地の固定資産税: 140万円 × 1.4% = 19,600円
- 建物の評価額: 1,800万円 × 70% = 1,260万円
- 建物の課税標準額: 1,260万円
- 建物の固定資産税(当初): 1,260万円 × 1.4% = 176,400円
- 新築住宅の軽減措置: 当初3年間(長期優良住宅等は5年)は税額が1/2になります。 176,400円 × 1/2 = 88,200円
- 年間の固定資産税合計(軽減措置適用期間): 19,600円 + 88,200円 = 107,800円
軽減措置終了後は、土地19,600円 + 建物176,400円 = 196,000円 となります。(建物評価額の経年減価は別途考慮)
3000万の築30年の一戸建て(土地面積200㎡以下)の固定資産税の計算シミュレーション例
次に、築30年の中古物件の場合を計算します。
土地の税額は新築時と同じです。
- 土地の固定資産税: 19,600円 (新築時と同様)
- 建物の当初評価額: 1,260万円(新築時と同様)
- 経年減価補正率: 木造住宅の場合、築27年程度で評価額が最低限度の20%まで下がるとされています。築30年ではこの最低限度額が適用されると考えます。
- 築30年時点の建物評価額(課税標準額): 1,260万円 × 20% = 252万円
- 建物の固定資産税: 252万円 × 1.4% = 35,280円
- 年間の固定資産税合計: 19,600円 + 35,280円 = 54,880円
新築時に比べて、建物の評価額が大幅に下がっているため、年間の固定資産税額も大きく軽減されていることがわかります。
3000万の築40年の一戸建て(土地面積200㎡以下)の固定資産税の計算シミュレーション例
最後に、築40年の中古物件の場合を計算します。
木造住宅の評価額は築27年程度で最低限度の20%に達するため、築30年時点と評価額は変わらないと考えられます。
- 土地の固定資産税: 19,600円 (新築・築30年時と同様)
- 建物の当初評価額: 1,260万円(新築時と同様)
- 経年減価補正率: 最低限度の20%が適用されます。
- 築40年時点の建物評価額(課税標準額): 1,260万円 × 20% = 252万円
- 建物の固定資産税: 252万円 × 1.4% = 35,280円
- 年間の固定資産税合計: 19,600円 + 35,280円 = 54,880円
このシミュレーションでは、築30年と築40年で固定資産税額は同じになりました。
理由は、建物の評価額がすでに最低限度まで下がっているためです。
関連記事:築50年の一軒家の固定資産税をまとめた記事はこちら
固定資産税を軽減する特例措置

固定資産税には、納税者の負担を軽減するための特例措置がいくつか設けられています。
これらの措置をうまく活用することで、税負担を抑えることができます。
特例は土地と建物のそれぞれに用意されているため、内容を正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、主な固定資産税の軽減措置を、土地と建物に分けて詳しく解説します。
土地の固定資産税軽減措置
居住用の家屋が建っている土地(住宅用地)は、「住宅用地の特例措置」が適用され、課税標準額が大幅に軽減されます。
具体的には以下の通りです。
- 小規模住宅用地: 住宅1戸あたり200㎡以下の部分は、固定資産税評価額が 1/6 に減額されます。
- 一般住宅用地: 200㎡を超える部分(ただし家屋の床面積の10倍まで)は、固定資産税評価額が 1/3 に減額されます。
例えば、300㎡の住宅用地の場合、200㎡分は評価額が1/6に、残りの100㎡分は評価額が1/3になります。
これにより、更地に比べて土地の固定資産税が大幅に安くなります。
マンションの場合、各戸の敷地持ち分は200㎡以下になることがほとんどのため、通常は小規模住宅用地の特例(1/6)が適用されます。
建物の固定資産税軽減措置
新築住宅は、建物の固定資産税を一定期間減額する特例措置があります。
これは、新築当初は建物の評価額が高いため、負担を軽減する目的で設けられています。
【新築住宅の減額措置(2024年3月31日までに新築された住宅)】
- 対象: 新築された住宅で、床面積が50㎡以上280㎡以下のもの
- 減額内容: 居住部分の床面積120㎡までの部分は、固定資産税額が 1/2 に減額されます。
- 減額期間:
- 一般の住宅(木造など):新築後 3年間
- 3階建て以上の耐火・準耐火建築物(マンションなど):新築後 5年間
さらに、「認定長期優良住宅」の場合は、減額期間がそれぞれ2年間延長され、一般の住宅は5年間、マンションなどは7年間となります。
なお、中古住宅は、固定資産税を直接軽減する措置はありません。(ただし、購入時の不動産取得税には軽減措置があります。)
軽減措置以外に固定資産税を抑える方法
税法上の軽減措置以外にも、固定資産税の負担を実質的に軽減したり、評価額を適正にしてもらったりする方法があります。
ここでは、代表的な方法として以下の2つを紹介します。
- クレジットカードでの支払いによるポイント獲得
- 家屋調査への適切な対応
これらの方法を知っておくことで、少しでもお得に、そして適正な税額での納税につながる可能性があります。
クレジットカード払いにする
多くの自治体では、固定資産税の支払いにクレジットカードを利用できます。
クレジットカードで支払うメリットは、カード会社のポイントが付与される点です。
貯まったポイントを他の支払いや商品交換に利用すれば、実質的に税負担を軽減できます。
ただし、注意点もあります。
自治体によっては、クレジットカード払いの場合、納税額に応じた決済手数料がかかることがあります。
付与されるポイントよりも決済手数料の方が高くなってしまうと、かえって損をしてしまう可能性もあります。
利用する際は、お住まいの自治体の手数料体系と、お持ちのクレジットカードのポイント還元率を事前に確認し、どちらがお得になるかを比較検討しましょう。
家屋調査を受ける
建物の固定資産税評価額は、新築または増改築後に行われる「家屋調査」の結果に基づいて決定されます。
この調査は、市町村の職員が実際に家を訪問し、建物の構造、使用されている資材、設備の状況などを確認するものです。
評価額は、これらの調査結果を基に算出されるため、調査には積極的な協力が重要です。
もし、評価に影響しそうな点(例えば、標準的な設備よりもグレードの低いものを使用している、特殊な建材ではないなど)があれば、調査員に伝えることで、評価額が不当に高くならないようにできます。
ただし、意図的に価値を低く見せるような虚偽の説明は避け、あくまで事実に基づいて伝えるようにしましょう。
中古住宅における固定資産税が安い物件の特徴

中古住宅の購入を検討する際、固定資産税がどのくらいかかるかは重要なポイントです。
一般的に、築年数が経過した中古住宅は新築に比べて固定資産税が安くなる傾向があります。
例えば、築30年の一戸建ての場合、年間の固定資産税は安いケースで4万円~5万円程度、比較的高くても9万円~10万円程度が目安となります。
ここでは、固定資産税が比較的安くなる中古住宅の特徴を解説します。
売買価格が安い中古住宅は固定資産税も安い
固定資産税は、その不動産の「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。
この評価額は、基本的にはその不動産の適正な時価、つまり市場で通常取引されるであろう価格を反映しています。
そのため、一般的に売買価格が安い中古住宅は、固定資産税評価額も低く評価される傾向にあり、結果として固定資産税も安くなることが多いです。
もちろん、売買価格と評価額が完全に一致するわけではありませんが、相関関係は強いと言えます。
したがって、固定資産税の負担を抑えたい場合は、購入時の価格が手頃な中古住宅を選ぶことが一つの有効な方法となります。
木造の中古住宅は固定資産税が安い
建物の構造も固定資産税額に影響を与える要素です。
同じような条件(築年数、広さ、設備など)の中古住宅であれば、一般的に木造の物件が鉄骨造や鉄筋コンクリート造の物件よりも固定資産税は安くなる傾向があります。
これは、建物の評価額の算出方法に関係しています。
木造は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて、新築時の建築コストが比較的安価であり、また、経年による価値の下落スピード(減価償却率)も速いとされています。
そのため、固定資産税評価額が低く評価されやすく、結果として税額も抑えられる傾向にあります。固定資産税を重視するなら、木造の中古住宅を選択肢に入れるのが良いでしょう。
立地条件が悪く敷地面積が狭い物件は固定資産税が安い
固定資産税は土地と建物の両方に課税されますが、特に土地の評価額は立地条件に大きく左右されます。
一般的に、交通の便が良い駅近の土地や、商業施設が充実しているエリアの土地は評価額が高く、固定資産税も高くなる傾向があります。
逆に、駅から離れていたり、周辺に利便施設が少なかったりするなど、いわゆる「立地条件が良くない」とされる土地は、評価額が低く抑えられ、固定資産税も安くなるのが通例です。
また、土地の面積も評価額、ひいては固定資産税額に影響します。
当然ながら、敷地面積が広いほど評価額は高くなり、税額も上がります。
したがって、固定資産税を抑えたい場合は、利便性とのバランスを考えつつ、比較的立地条件が控えめで、必要以上に広すぎない敷地面積の物件を選ぶ視点も重要になります。
よく「中古住宅は築年数が経つと固定資産税が安くなる」と言われますが、これは主に建物の評価額が経年劣化により下がっていくためです。
土地の評価額は、建物の築年数とは関係なく、周辺の地価動向(路線価など)によって変動します。
地価が上昇すれば土地の固定資産税は上がり、下落すれば税額も下がるのが原則です。
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今回は、固定資産税の仕組みや計算方法、費用相場、安く抑えるポイントを解説しました。
特に中古住宅の場合、物件の選び方によって固定資産税を抑えることもできます。
そして、中古住宅を購入して自分好みの住まいに変える「リノベーション」は、賢い選択肢の一つです。
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