実家のリノベーションは、中古住宅のように「家を選ぶ」ところから始まりません。
親が建てた家をそのまま引き継ぐため、当時の家族構成に合わせた間取りが今の暮らしに合わないことが多く、使わない客間や寒い北側のダイニングが残ったままになっています。
どこまで“今の暮らしに合う形へつくり替えられるか”は、実家をどんな状態で引き継ぐかによって変わります。
親が住み続ける場合は生活を止めずに工事を進める必要があり、工事の順番や動線の確保が欠かせません。
自分たちが住む場合は、建物の状態と暮らし方に合わせて範囲を設定できます。空き家なら、部屋数や間取りの前提からゼロベースで見直せます。
この記事では、延床の3割だけを改修した部分リノベから、骨組みだけ残すフルスケルトンまで、実家リノベの実例を引き継ぎ方別に整理しました。
「自分のケースはどこまで直せるのか」を判断するための材料として、工事範囲・築年数・延床面積・施工会社を比較できるようにまとめています。
事例 | 施工会社 | 所在地・築年数 | 延床面積 | 工事の範囲 |
|---|---|---|---|---|
My Design/株式会社Izumida | 東京 | 151.26平米 | フルリノベーション | |
ひかり工務店 - KIRARI - | 大阪・築30年 | 46.8平米 | 枠だけ残して全面 | |
an cube | 大阪・築40年 | 131平米 | 骨組みだけ残して全面 | |
アイエスホーム石山工業所 | 埼玉・築40年 | 108平米 | LDK周り32平米のみ | |
あなぶき・きなりの家 | 香川・築28年 | 206平米 | フルリノベーション |
費用の目安を先に知りたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/renovation-parent-home
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実家リノベーション事例|親から受け継いだ実家に自分たちが住んだ場合
受け継いで自分たちが住む実家は、新しい家族の暮らし方に合わせて作り替えるパターンです。
親の生活を止めずに直す必要がないので、間取りも設備も自分たちの都合で選べます。範囲を左右するのは、建物の状態と何を解決したいかの2点です。
建物に雨漏りや傷みが出ていれば、直す範囲はそこまで広がります。建物側に問題がなければ、範囲は解決したいことに合わせて絞れるはずです。
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東京・延床151平米|見た目と性能の両方に予算を配ったフルリノベ

延床151.26平米、和風の造りだった実家を、2026年5月にフルリノベーションした事例です。仕上げに加えてサッシと屋根にも工事が入りました。
親世代の家の広さをそのまま収納に回した大型パントリー
キッチン背面の壁一面が、木目調の引き戸で丸ごと隠せる大型パントリーになっています。
食器も調理家電も食品のストックも、この中に収まりました。表に出ていた物が扉の内側へ移るため、扉を閉めればキッチンまわりに生活感が残りません。
壁一面を収納にあてられたのは、延床151.26平米の広さがあったからです。受け継いだ実家に余っている壁があるなら、収納を各室に足すより1か所へ集める選び方ができます。
南向きの日差しを室内に引き込むサッシ交換と土間
リビングのサッシは、南向きの日差しを取り込むために交換したものです。
あわせてリビングの一角に土間を設け、庭と行き来できるようにしました。
土間なら土のついた靴でも上がれるため、キャンプ用品の置き場にも、庭仕事の合間に腰を下ろす場所にもなっています。
窓を替えるだけでなく、庭へ出る場所まで作った事例です。実家に使っていない庭があるなら、リビングとつなぐ余地が残っているかもしれません。
和風の家に黒のアイランドキッチンを入れて印象を変える

LDK全体の印象を決めているのは、黒のアイランドキッチンです。
重厚感のあるブラックを選び、間接照明を仕込んだ木目調の天井と木のフローリングを合わせています。和モダンとしてのまとまりは、この組み合わせから生まれました。
元は和風の造りだった家に、色の濃い設備を1か所だけ入れた形です。受け継いだ実家の雰囲気を変えたい場合、全体を作り替えなくても印象は動かせます。
11か所のサッシ交換と屋根の葺き替えに回した予算
工事はLDKの仕上げだけでなく、建物全体のサッシ11か所と屋根に及んでいます。
見た目だけでなく、外から見えない部分の性能にも予算が配分されました。受け継いだ実家で、仕上げと断熱のどちらも後回しにしていません。
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大阪・MONO HOUSE|建て替えができない条件から選んだ枠だけ残すフルリノベ

受け継いで住み続けていた延床46.8平米の実家を、建て替えの相談を経てリノベーションに切り替えた事例です。2021年10月に完成し、間取りは3LDKのまま変わっていません。
受け継いで住み続けた家が築30年になって出てきた不満
冬の浴室が寒いという不満から、この計画は始まりました。
受け継いで住んでいた家は築30年で、設備も性能も建てた当時のままでした。施主はここから、ハウスメーカーへ建て替えを相談しています。
設備の入れ替えではなく、建て替えから検討が始まっています。実家に住み続けていて不満が出ている場合、入り口が建て替えの相談になることも珍しくありません。
隣家と一体化した壁とコンクリート造の駐車場という条件
調べた結果、この家は建て替えに向いていませんでした。
自宅の壁と隣家の壁が構造として一体になっており、切り離すには大掛かりな工事が必要でした。1階の駐車場もコンクリート造で、解体にも費用がかさみます。
費用をかけても以前より狭い家しか建たないと判明し、リノベーションに切り替わりました。
この条件は、建て替えの相談を進める過程で分かったものです。実家の建て替えを検討しているなら、土地と建物の条件を先に確かめておくと、計画のやり直しを避けられます。
建て替えとリノベーションについて、以下の記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/rebuild-vs-renovation
コンクリートは残しつつ枠だけにして進めた全面改修
解体に費用のかかる1階のコンクリート部分は、そのまま残す方針です。
残したのはコンクリートだけで、木造部分は内部を取り払い、枠だけの状態から作り直しました。天井を抜いて高さを出し、玄関の位置も移動しています。
建て替えができないと分かった後でも、間取りはここまで動かせるという事例です。壊さない部分をコンクリートに限ったことで、残りは自由に組み直せました。
3階の大きな窓と格子状の廊下で下階まで届く光
採光は、最上階から下へ落とす方法で確保しました。
3階に大きな窓を設け、3階の廊下は格子状に組んでガラスを入れています。床で光が止まらないため、上から入った光が下の階まで届く作りです。
上下に細長い建物で、光の取り方を工夫した例です。
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大阪・築40年|雨漏りの進行から決めたフルスケルトン

譲り受けた実家が雨漏りしていたため、構造だけを残して延床131平米をフルリノベーションした事例です。2019年5月に完成しました。
譲り受けた時点で雨漏りが激しくなっていた築40年の実家
フルスケルトンを選ぶ決め手になったのは、雨漏りの激しさです。
部分的な補修ではなく、家の骨組みだけを残す工事になりました。仕上げだけを新しくしても、雨漏りの原因は残ってしまうからです。
譲り受けた時点で、すでに建物の傷みが進んでいた家です。実家の状態によっては、仕上げの希望より先に工事の範囲が決まります。
構造だけ残したことで元の間取りに縛られなくなった住まい
間取りは元の形に縛られず、住む人の暮らし方から組み直されています。
置かれたのは、リビングダイニングを見渡せる対面キッチンと、その横の作業スペースです。
大容量のウォークインクローゼットに加え、階段横にはブラックタイルとワーク用テーブルもあります。
犬2頭と暮らす前提の計画なので、玄関の足洗い場や階段下のくつろぎスペースもその流れです。
元の部屋割りを引き継がず、住む人の暮らし方から組み直しています。
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埼玉・築40年|全面ではなくLDK周りに絞った部分改修

譲り受けた築40年の実家を、延床108平米のうち32平米だけ改修した事例です。2023年3月に完成しました。
譲り受けた実家で家事のしやすさだけを直したいという相談
これから住むなら家事が楽になるよう間取りを変えたい、というのが相談の出発点でした。
目的が家事動線の改善だったため、断熱や耐震は工事の対象から外れています。以前から顔見知りだった施工会社への相談から始まりました。
受け継いだ実家でも、全面改修は選んでいません。直したいことが決まっていれば、範囲はそこに絞れます。
昔ながらの和室と独立キッチンをまとめた14畳のLDK
和室と独立していたキッチンを1つにまとめ、14畳のLDKにしています。
1つにまとめたのは、使いづらかった和室と、壁に向かって立つ形だったキッチンです。
対面式に変えたことで、家族と話しながら調理でき、配膳のために動く距離も短いキッチンになっています。
工事の範囲は延床108平米のうち32平米です。家の3割ほどでも、毎日過ごす場所が入っていれば生活は変わります。
長年使われた障子と欄間をそのまま残したアクセント
障子と欄間(らんま。鴨居の上に設けられた採光や通風のための開口部)は、解体せずに残しました。
長年使われてきた障子と欄間を、新しいLDKのアクセントとして取り入れています。新しい床と壁の中に、元の家の造りが残る形です。
受け継いだ実家を全面的に新しくせず、一部を残した例です。思い入れのある障子やふすまがあるなら、こうした残し方ができます。
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実家リノベーション事例|空き家になっていた実家を再生する場合
空き家になった実家は、住むかどうかの判断から始まるパターンです。
誰も住んでいないぶん間取りは自由に組み替えられますが、置いておく期間が長いほど建物は傷みます。
窓を開ける機会も水を流す機会もなくなるので、湿気がこもって建材が劣化していきます。庭も伸びるため、住んでいないのに手入れの費用がかかり続ける状態です。
間取りの自由度は高い一方で、着手を遅らせるほど直す範囲が広がります。
築28年・香川|南にLDKを移して平屋のように暮らせる家に

何年も空き家だった築28年の実家をフルリノベーションし、生活に必要な機能を1階にまとめた事例です。2023年3月に完成し、就職で戻る娘の住み替え先になりました。
空き家のまま置いておくほど重くなる手入れと管理の負担
放置すれば手入れと管理のコストが嵩む一方で、建物の傷みも進む状態でした。
傷みが激しくなる前に活用しようという判断と、娘が就職で地元へ戻る時期が重なったのが、住み替え先として再生させる計画の始まりです。
傷みが進む前に、空き家を住まいへ戻しました。
日当たりの良い南側に使わない客間があった昔ながらの間取り
日当たりと部屋の使い方が噛み合っていない間取りでした。
家族が長い時間を過ごすダイニングキッチンと和室の居間は、寒い北側にありました。反対に日当たりの良い南側を占めていたのが、普段は使わない客間です。
昔ながらの間取りで、日当たりの良い場所が活かされていない状態でした。実家を見に行くとき、南側に何の部屋があるかは確かめておく価値があります。
LDKを南へ、寝室を1階へ下ろした2LDK
北側にあったダイニングキッチンと居間を南側へ移し、1つのLDKにまとめています。
2階にあった寝室も1階へ下ろし、生活に必要な場所を1階に集めました。階段を使わずに1日が完結する、平屋の感覚で暮らせる住まいです。部屋数は3LDKから2LDKに減っています。
元の間取りを引き継がず、部屋数まで変えた例です。空き家であれば、ここまで組み替える選択が取れます。
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実家リノベーションで判断が分かれるところ
工事の範囲を決めているのは築年数ではなく、その家をどう引き継ぐかです。
築28年でもフルリノベーションした家があり、築40年でもLDK周りだけで収めた家がありました。
同居するのか、受け継いで住むのか、空き家を再生するのか。この入り口の違いが、その後の判断を分けています。
ここではパターンごとに、範囲がどこで決まるかを整理します。
二世帯住宅化の進め方
親と同居する場合は、水まわりと玄関を足すかどうかを最初に決めてください。
実家は1世帯で暮らすために建てられており、キッチンも浴室も1つしかありません。水まわりを増やすとなれば配管の経路から見直すことになり、間取りも動きます。
仕上げの話から先に進めていると、この段階で計画をやり直すことになります。
費用の考え方も間取りの組み方も1世帯の場合とは別です。同居を前提にしているなら、二世帯住宅として検討したほうが判断を早められます。
実家を二世帯住宅にリフォームする場合の費用と間取りについて、以下の記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/two-family-renovation
受け継いだ家を全面で直すか一部で収めるかの分かれ目
建物に雨漏りや傷みがあれば直す範囲はそこまで広がり、なければ何を解決したいかで絞れます。
フルリノベーションした家は前者でした。雨漏りが進んでいた家では骨組みの状態から確かめることになり、建て替えができないと分かった家では間取りが白紙に戻っています。
サッシと屋根まで交換した家も、工事は建物全体に及びました。
LDK周りだけで収まった家は後者です。建物側に直さなければならない問題がなかったので、家事のしやすさという目的に合わせて範囲が決まりました。
空き家だからできる部屋数を減らす選択
誰が何人で住むかが決まっていれば、部屋数は減らせます。
親が住み続けている実家では、今の使い方を崩せないため部屋を減らせません。空き家なら住んでいる人がいないので、使わない客間を残す理由がなくなります。
減らした分の面積は、残る部屋の広さや日当たりに振り替えられます。
部屋数は当時の家族の人数で決まったものです。今の人数から決め直せば、使わない部屋を抱え込まずに済みます。
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まとめ|実家リノベーション、自分の家はどこから決めるか
当てはまるパターンが決まったら、次は情報を集める段階です。
実家に帰ったときに、南側に何の部屋があるか、使っていない部屋がどこかを見ておいてください。これは間取り図がなくても歩けば分かります。
建物の傷みは見ただけでは判断できませんが、これまでに屋根や外壁を直したことがあるか、水回りを入れ替えたことがあるかは親に聞けば分かります。
工事の記録が残っていれば、それも参考になります。
費用の目安を調べるのも、同じ段階でできることです。
柱や基礎の傷み具合は最終的に現地を見ないと分かりませんが、そこまで進むかどうかは、集めた情報がそろってから決めれば足ります。
実家のリノベーションについて、以下の記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/renovation-parent-home
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