「子ども部屋がいつの間にか物置になっている」「老後に向けて、1階だけで暮らしが回る間取りにしたい」
家族のかたちや暮らし方が変わると、新築時にちょうど良かった間取りが、今の生活に合わなくなってきます。
そんなとき、住まいを今の暮らしに合わせて作り替える選択肢が、戸建ての間取り変更です。
戸建てはマンションのような管理規約や共有配管の縛りがないため、間取りを変える自由度が高いのが特徴です。ただし、どこまで変えられるかは家の構造で決まります。
本記事では、構造ごとに変えられる範囲、広げる・分ける・縦・減らすの方向別の費用、戸建ての実例4件を順にまとめました。
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戸建ての間取り変更はできる

戸建ての間取り変更は、多くの場合で実現できます。
マンションでは管理規約や共有部分の配管が工事の範囲を縛りますが、戸建てにその制約はありません。間取りを変える自由度は、建物の構造そのもので決まります。
ただし、家じゅうのどの壁でも動かせるわけではありません。室内の壁は、取り払える「非耐力壁」と、建物を支えていて取り払えない「耐力壁」「筋交い」「通し柱」の2種類です。
広いLDKにできるか、部屋を仕切り直せるかは、この壁の種類で決まります。
間取り変更できる範囲は「構造」で決まる
戸建てでどこまで壁を動かせるかは、建物の構造(工法)で決まります。
自由度が高いのは木造軸組工法で、次いで2×4工法、鉄骨造・RC造と続きます。同じ鉄骨造やRC造でも、細かな工法によって動かせる範囲は変わります。
まず自宅がどの工法で建てられているかを確認すると、実現できる間取りの範囲が見えてきます。
木造軸組(在来工法)|自由度が高い
木造軸組工法は、柱と梁で骨格をつくる、日本の戸建てで最も多い工法です。
建物を支えるのは柱と梁のため、部屋を仕切る壁の多くは強度に関わらない非耐力壁です。この壁は取り払っても建物の強さへの影響が小さく、間取り変更の自由度が高いのが特徴です。
隣り合う和室と居間をつないで広いLDKにするプランも、軸組なら無理なく進められます。
ただし、すべての壁を動かせるわけではありません。地震や風の横揺れに耐える「耐力壁」、斜めに入る「筋交い」、1階と2階を貫く「通し柱」は、建物の安全を守る要です。
これらは取り払えません。自宅が軸組なら選べる間取りは広がりますが、残す壁と動かせる壁の線引きは、設計の段階で確認する必要があります。
2×4(木造枠組壁工法)|抜ける壁が限られる
2×4工法は、規格材で組んだ枠に構造用合板を張り、壁で建物を支える工法です。
柱と梁で支える軸組と違い、壁そのものが地震や風の力を受け止めます。そのぶん、取り払える壁はごくわずかです。
壁を抜いてLDKを一体化したり、大きな窓を新設したりする計画は、構造の制約で難しくなります。
中古の2×4戸建てでLDK化を狙うなら、契約前の工法確認が前提です。設計図書(建築確認申請書・竣工図)で確かめ、判断がつかなければ施工会社に現地を見てもらいます。
希望のLDK化が難しいと分かったら、間仕切りの一部だけを動かす案に切り替えるか、軸組やラーメン構造の物件に絞り直すと、購入後の計画がスムーズに進みます。
鉄骨造・RC造|工法しだいで分かれる
鉄骨造とRC造は、細かな工法によって間取り変更の自由度が大きく分かれます。
柱と梁で骨格をつくる「ラーメン構造」なら、壁は強度を担わないことが多く、撤去や移動の自由がききます。重量鉄骨造やRC造でよく採用される工法です。
一方、軽量鉄骨造で一般的な「ブレース」で支える構造や、RC造の「壁式構造」は、壁やブレース自体が強度を担うため、撤去に大きな制限がかかります。
見極めるべきは、鉄骨かRCかの種別ではなく、ラーメン構造か、ブレース構造・壁式構造かです。
ラーメン構造なら大胆な間取り変更も視野に入りますが、ブレース構造や壁式構造では計画できる範囲が限られます。

自分の家の構造を調べる方法
自宅の工法は、建築時の「建築確認申請書」や「竣工図」で確認できます。
これらの設計図書には、建物の工法が記載されています。手元になければ、家を建てた施工会社や販売した不動産会社が問い合わせ先です。
中古で購入した家なら、売買時に受け取った書類一式を探すところから始めます。
ただし、どの壁が耐力壁で、どこに筋交いが入っているかまでは、図面だけでは専門家でも判断できません。
間取り変更の可否と範囲が確定するのは、建築士か施工会社による現地調査の段階です。構造の判断は建物の安全に直結するため、自己判断は避け、プロの現地調査を受けましょう。
戸建ての間取り変更で何ができる?方向別の費用とあわせて

戸建ての間取り変更は、広げる・分ける・縦に変える・減らすの4つの方向で整理できます。
どの方向を選べるかは家の構造しだいで、工事費も方向ごとに幅があります。暮らしのどこに不満があるかで、選ぶ方向は変わります。
広げる・つなげる|LDK化・和室一体化・対面キッチン
要望で多いのは、壁を抜いて空間を広げる変更です。
代表的なのは、隣り合う部屋の間仕切りを撤去し、リビング・ダイニング・キッチンをひと続きの広いLDKにするプランです。
家族がそれぞれの部屋に分かれず、同じ空間で過ごせるようになります。このとき、抜く壁が建物を支える耐力壁でないことが前提になります。
リビング横の和室を洋室に変えて一体化したり、壁付けキッチンを対面式やアイランド式に替えて、料理をしながら家族と顔を合わせられるようにしたりするのも、空間を繋ぐ方法です。
キッチンのリノベーションについて詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/renovation-kitchen-tips
分ける・増やす|個室化・間仕切り・増築
広いLDKが主流の一方で、空間を分けたい、部屋を増やしたい要望も根強くあります。
在宅ワークが定着して書斎がほしくなった、子どもが成長して個室が要るようになった、というのが典型です。
広い部屋に壁を新設して仕切れば、集中できる場所や一人になれる場所が生まれます。
大空間の弱点は、冷暖房の効きにくさと、生活音が広がることです。あとから「仕切っておけばよかった」という相談も少なくありません。
将来また使い方が変わりそうなら、固定の壁ではなく可動間仕切りや引き戸を選ぶと、広く使う日と個室にする日を使い分けられます。
部屋や収納そのものを増やしたいときは、床面積を足す増築や、まとまった収納をつくるウォークインクローゼットの新設も選択肢に入ります。
収納スペースの確保について詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/renovation-closet
縦に変える|階段移設・吹き抜け・スキップフロア
空間を縦に変えられるのは、戸建てリノベーションならではの選択肢です。
上下階の構造が一体になったマンションでは難しく、戸建てだからこそ手を入れられます。
壁に囲まれた階段をリビングの中のオープン階段に変えると、1階と2階の気配がつながり、家全体に開放感が広がります。
1階の天井と2階の床を部分的に抜いて吹き抜けをつくれば、上の窓から光が入り、昼間は照明がいらないほど明るくなります。
床の高さを半階ずらすスキップフロアは、壁で仕切らずにゆるやかに空間を分けながら、段差の下を収納に使えます。
これらは構造に大きく手を入れる工事です。費用は規模や工法で数十万円から数百万円以上まで開きます。
金額を左右するのは、階段の移設か、吹き抜けの大きさか、必要な補強の範囲かといった条件です。相場の数字をあてにせず、現地調査にもとづく見積もりで把握しておくと安心です。
減らす|減築・1階完結化
家族構成の変化や将来の暮らしに合わせて、建物を減らす方向もあります。
子どもが独立して2階を使わなくなったとき、その階を縮小・撤去するのが減築です。建物が軽くなって耐震性が上がり、屋根や外壁の面積が減ってメンテナンス費用も抑えられます。
生活のすべてが1階で完結する間取りにすれば、階段の上り下りがなくなり、年齢を重ねても無理なく暮らせます。
2階にあった寝室や水回りを1階に集めると、洗濯物を抱えて階段を往復する手間がなくなり、毎日の動線が短くなります。
手すりの設置や段差の解消とあわせれば、将来のバリアフリー化にもつながります。
減築リフォームの費用や判断基準について詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/downsizing-renovation
間取り変更の工事費まとめ
戸建ての間取り変更の費用は、約150万〜500万円が中心の価格帯です。
方向ごとの主な工事と費用の目安を、一覧にまとめました。
方向 | 主な工事 | 費用の目安 |
|---|---|---|
広げる・つなげる | リビング拡張(3LDK→2LDK) | 200万〜400万円 |
壁付け→対面キッチン | 150万〜400万円 | |
和室→洋室 | 50万〜120万円 | |
分ける・増やす | 間仕切り壁の新設 | 5万〜30万円 |
引き戸への変更 | 20万〜40万円 | |
ウォークインクローゼット増設 | 50万〜100万円 | |
増築(6畳ほど) | 250万〜450万円 | |
縦に変える | 階段移設・吹き抜け・スキップフロア | 規模・工法で変動(要見積もり) |
減らす | 浴室の移動・拡張 | 150万〜250万円 |
費用には、壁の撤去・新設、内装の仕上げ、電気工事などが含まれ、設備のグレードや建物の状態で前後します。
同じ間取り変更でも、壁を一枚動かすのか、家全体の流れを組み替えるのかで、金額の桁は変わります。
ここで挙げたのは部分的な間取り変更の費用です。家全体を骨組みまで解体するフルリノベーション(スケルトンリノベーション)になると、費用の規模は大きく変わります。
フルリノベーションの費用について詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/fullrenovation_cost
戸建ての間取り変更で後悔しないための注意点

戸建ての間取り変更で特に注意したいのは、耐力壁の抜きすぎによる耐震低下、階をまたぐ水回り移設の段差、抜けない柱や梁、開口部を増やしたときの断熱・耐震の崩れの4点です。
いずれもマンションにはない、戸建ての構造と形状から生まれる注意点です。
耐力壁・筋交いを抜きすぎて耐震性が落ちる
戸建ては、建物全体で構造を分担するマンションと違い、一棟だけで地震に耐えています。
そのぶん、間取り変更で壁を撤去するときは耐震性への目配りが欠かせません。
開放的な大空間LDKに憧れて壁を抜きすぎると、強度を支える耐力壁や筋交いまで失い、地震への備えが大きく弱まります。
壁を撤去するなら、まず耐震診断で現状を把握し、必要に応じて梁の補強や新しい耐力壁の設置をセットで計画します。
木造軸組と2×4では、抜ける壁の限界も適した補強方法も違うため、構造に合わせた設計が欠かせません。
耐震性を高めるリノベーションについて詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/seismic-renovation-cost-points
2階の水回りを1階へ移すと排水勾配で段差が出る
2階の浴室や洗面所を1階へ移すと、排水管の勾配を確保するために床へ段差が出ます。
排水をスムーズに流すには、排水管に一定の傾斜が要ります。
既存の配管位置との関係で1階の床下に十分なスペースを取れないと、床をかさ上げして勾配を確保することになり、洗面脱衣室の入口などに段差が生まれます。
バリアフリーが目的なら、この段差は見過ごせません。移設を決める前に、1階の床下で勾配を確保できるか、難しい場合は段差をどう解消するかまで、設計で詰めておく必要があります。
水回りのリノベーションについて詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
https://furureno.jp/magazine/water_revo_guide
1階を広げても2階を支える柱・梁・通し柱は抜けない
1階に大空間をつくるとき、戸建てで残るのが、2階の床や屋根の重さを支える柱と梁です。
なかでも1階と2階を貫く「通し柱」は構造の要で、原則として動かせません。間取りのプランで前提になるのが、この抜けない柱や梁です。
建物が「総2階」か「部分2階」かでも重さのかかり方が変わり、残すべき柱の位置は違ってきます。
抜けない柱は、空間を遮る邪魔者ではありません。
あえて見せる化粧柱にしたり、空間をゆるやかに分ける目印にしたりと、残せる柱を前提に組み立てることが、無理のない間取り変更につながります。
窓・吹き抜けで開口を増やすと断熱・耐震のバランスが崩れる
窓を大きくしたり吹き抜けを設けたりすると、断熱と耐震の両面でバランスが崩れます。
戸建ては四方の壁が外気に接するため、開口部が増えるほど熱の出入りが大きくなり、夏は暑く冬は寒い家になりかねません。
壁は耐震性を担う要素でもあり、大きな窓や吹き抜けはその分だけ耐力壁を減らします。
明るさや開放感を取り入れるなら、複層ガラスや樹脂サッシなど断熱性能の高い窓を選び、減った壁量に見合う耐震補強もセットで計画することが大切です。
戸建ての間取り変更事例4選
4つの事例は、広げる・水回りの移動・縦・分けるという変更の方向ごとに選びました。
それぞれが構造の制約をどう扱い、暮らしをどう変えたかに注目すると、自分の家に当てはめて考えられます。
和室を解体して大空間LDKへ|抜けない構造柱を活かす

細かく仕切られていた和室を解体し、ひと続きの大空間LDKにした事例です。
ただ広げるだけでなく、土間・畳・ヌックという居場所を一つの空間にちりばめ、家族がそれぞれ好きな場所で過ごせるようにしています。
南側の大きな窓に面してモルタル調のリビング土間を設け、奥には天井までの収納を造作して、キャンプやBBQの道具を外から持ち込まずにしまえる動線を確保しました。
壁の一角をくぼませた「ヌック」は、床から400mmのベンチを置いた、腰かけて本を読める居場所です。
空間の中央に立つ白い柱は、耐震上どうしても抜けない構造柱でした。
この柱を境に、土間側は木目調、リビング側は白と天井の仕上げを切り替え、抜けない制約を空間を分けるアクセントとして活かしています。
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水回りを2階から1階へ|動線を再編

築10年・延床約220㎡の3階建て戸建てで、2階にあった浴室と洗面脱衣所を1階へ移した事例です。
長年の悩みは、水回りの手狭感と収納不足でした。動線を組み替え、1階の和室を縮小して水回りのスペースを確保し、もとの脱衣所は冷蔵庫も収まる大型パントリーに変えています。
キッチンは壁付けにして空間を広く使い、家電を納める造作家具も加えました。
収納のなかった2階には、ウォークインクローゼットと手洗い場を新設しています。入浴も洗面も1階で済むようになり、階をまたいだ家事の移動がなくなりました。
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部屋数を減らし、オープン階段で縦に抜けるLDK

築15年・延床約118㎡の戸建てで、1階の部屋数を減らしてLDKを広げた事例です。
リノベーションのきっかけは、「もっとリビングを広く」という思いでした。間仕切りで分かれていた1階をひとつにまとめ、壁に囲まれていた階段をオープン階段に変えています。
これで2階への視線が抜け、空間に縦の広がりが出ました。仕上げにキッチンを対面式へ配置換えし、料理をしながらリビングを見渡せる配置です。
トイレと洗面台の設備も入れ替え、トイレには造作の手洗い場を設けています。
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使っていない2階を、構造を残して3部屋に分けた

築80年を超える古民家で、物置になっていた2階を子世帯の住まいに分けた事例です。
計画の出発点は、近くに住む子ども家族との同居でした。
建て替えずにこの家を残すと決め、2階は構造上必要な柱と梁をすべて残したまま間取りを一新し、リビング・夫婦の寝室・子ども部屋の3室に分けています。
天井が低かったところは勾配天井を活かし、2階のリビングは古い構造材をあえて見せる仕上げにしました。
1階は家族全員で使う水回りとLDKを改修し、二世帯がそれぞれの居住スペースを持てる間取りに整えています。
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まとめ|戸建ての間取り変更は「構造」から考える
戸建ての間取り変更は、建物の構造を知ることから始まります。
木造軸組工法・2×4工法・鉄骨造・RC造のどれで建てられているかで、変えられる範囲は変わります。
そのうえで、広げる・分ける・縦・減らすという方向と費用の目安を照らし合わせると、自分の家でできることが具体的に見えてきます。
ただし、図面だけでは読み切れない部分も多く、最終的な可否は専門家の現地調査ではじめて分かります。
耐力壁の抜きすぎや水回り移設の段差といった戸建てならではの落とし穴も、設計の段階で施工会社と一緒に確認しておくと、工事後の後悔を防げます。
理想の間取りを実現するには、構造を見極めて任せられる施工会社選びが鍵になります。
フルリノでは間取り変更に詳しいリノベ会社を多数紹介しています。
フルリノを活用して、理想の住まいを実現しましょう。
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