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和モダン寝室の作り方|おしゃれな和風インテリアとベッドのレイアウト

旅館の客室に一歩入ったときにふっと訪れる、あのやわらかな静けさ。

和モダン寝室が目指すのは、単なる就寝スペースではなく、目覚めるたびに心が整うような「余白のある美しい空間」です。

低い重心の家具、素足に心地よい畳、そして柔らかな陰影が、日々の喧騒を忘れさせてくれます。

しかし、実際にこの空気感を自宅で再現しようとすると、「どうしても生活感が消せない」「既存の洋室とチグハグになってしまう」などの現実に直面しがちです。

ただ家具を置くだけでは作れない、建具や天井を含めたトータルな空間の質が問われるからです。

そこで本記事では、配色や素材選びの基本から、照明による陰影の作り方、そしてリノベーションで実現した美しい事例までを網羅的にご紹介します。

あなただけの「お籠り空間」を作るためのヒントを、ぜひ見つけてください。

▼この記事でわかること

  • 生活感を物理的に消して「旅館のような静寂」を作る、徹底した収納計画
  • 6畳・8畳の広さ別に見る、視線の抜けを利用した「広く見せるレイアウト」の正解
  • 安眠を誘う「美しい闇」を作る照明術と、漆喰・無垢材など自然素材の選び方
  • 【事例3選】網代天井や障子、グレーの塗り壁を活用した本格リノベーション事例

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和モダン寝室の魅力|非日常感と「眠りの質」を高める理由

グレーの塗り壁と障子、無垢材の床を組み合わせた和モダンスタイル。ツインベッドと丸い和紙のペンダントライトが特徴的。

和モダン寝室の大きな魅力は、視覚的なノイズを削ぎ落とした静寂による「非日常感」と、自然素材の呼吸による「睡眠の質の向上」にあります。

低い重心の家具で圧迫感を消し、調湿効果のある畳や漆喰で空気を整えることで、単なる就寝スペースではなく、心身を深くリラックスさせる回復のための空間が完成します。

旅館のような非日常感——余計な情報を削ぎ落とした「静寂」を楽しむ

旅館のような非日常感を生み出すためには、視覚的なノイズを極限まで減らすことが重要です。

仰向けに寝た際、視界に入る天井の照明器具の凹凸や、壁面のエアコンなどの機械的な要素を隠すことで、脳が処理する情報を減らし「静寂」を感じることができます。

また、入室した瞬間に休息モードへ切り替わるよう、リビングとは明確に異なる低い照度を設定するのも効果的です。

さらに、朝目覚めた瞬間に窓の外の緑や塗り壁の陰影など、一番美しい景色が目に入るようベッドを配置すれば、心地よい一日のスタートを切ることができます。

睡眠の質の向上——低い重心と自然素材が心身をリラックスさせる

質の高い睡眠を得るためには、心理的な安心感と空気環境の両面からのアプローチが欠かせません。

人は無防備になる就寝時、天井が高いと不安を感じやすいため、ベッドや家具の重心を下げて天井を高く見せることで、包まれるような安心感を生み出します。

衛生面でも、寝具から発生するホコリの舞い上がりを考慮し、顔の位置が床から30cm付近のハウスダストゾーンを避ける高さにすることが大切です。

加えて、閉め切ることの多い寝室では、漆喰や珪藻土などの呼吸する素材を取り入れることで、調湿・消臭効果により朝まで快適な空気を保てます。

https://furureno.jp/magazine/japanese-modern-house

和モダン寝室の作り方|生活感を徹底的に隠して「美しい間」を作る収納計画

小林創建によるリノベーション後の寝室。紺色のシックな襖紙を使用した造作収納棚と引き戸が壁一面に設置され、中央に明かり取りの窓がある和モダンな空間。

和モダンな寝室を作る方法は、インテリアを飾る足し算ではなく、生活感を消す「徹底した隠す収納」による引き算にあります。

具体的には、壁面と一体化したクローゼットや押し入れを活用して衣類や季節家電をすべて視界から隠し、床やナイトテーブルの上には「照明と時計以外は置かない」状態を構築します。

視覚的なノイズを物理的に遮断し、空間に意図的な「余白(間)」を作ることで初めて、漆喰や木材の本来の質感が際立ち、洗練された和の静寂が完成します。

余白の重要性:生活感=ノイズを消すことがスタートライン

和モダンの洗練された雰囲気は、徹底的なノイズレス化から生まれます。

就寝直前に仕事道具や洗濯物が目に入ると脳が覚醒してしまうため、これらを物理的に視界から消すことが安眠への第一歩です。

床に物を置かないことは、夜中にトイレに立つ際のつまずき防止など、安全な動線を確保する上でも重要な意味を持ちます。

暗闇の中で家具のシルエットが圧迫感を与えないよう、寝室に置くアイテムは必要最低限に絞り込み、家具のない「余白」を贅沢に楽しむ意識を持つことが大切です。

収納の工夫:クローゼットや押し入れを活用して「見せない」を徹底する

生活感を完全に消すためには、表に出ている物をすべて扉の中に収める工夫が求められます。

寝室には予備の寝具や季節家電など嵩張るものが集まりがちですが、これらを大容量の収納へ徹底的に隠すことで、部屋の美しさを保てます。

枕元で散らかりがちなスマホや眼鏡、読みかけの本なども、ニッチや引き出しの中に外から見えない定位置を作ることで、生活感による雑多な印象を一掃できます。

埃が溜まりやすいオープンラックは避け、壁と同化するフラットな扉付き収納を選ぶことが、アレルゲン対策と見た目の美しさを両立する鍵です。

まずは、理想の空間を形にした資料を眺めてみませんか?こちらの事例集なら、写真を見るだけで「美しい余白」の作り方を感覚的に理解できます。

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和モダン寝室のレイアウト|6畳・8畳でも広く見せる「視線」と「動線」の基本

小林創建によるリノベーション後の寝室。布団を敷くための収納付き木製小上がりを造作し、ヘッドボードに間接照明を設置。窓を小さくし、落ち着いた雰囲気に仕上げた和モダンな空間。

部屋を広く見せるレイアウトの正解は、畳数に応じて「視線の抜け」「余白」を使い分けることです。

6畳などの限られた空間では、ベッドを片側の壁に寄せて視線の通り道(抜け)を確保しましょう。

逆に8畳以上の余裕がある場合は、中央配置による「シンメトリー(左右対称)」を作ることで、和モダン特有の規律と高級感を演出できます。

いずれも、入口からベッドまでの動線を50cm以上確保し、視覚的な広がりと生活動線の安全性を両立させます。

6畳の配置術:圧迫感を消すためにベッドを「壁寄せ」する

限られたスペースの6畳間を広く見せるには、視線の抜けを作ることが大事です。

ベッドを部屋の中央に置くと動線が分断されてしまうため、あえて片側の壁に寄せることで、反対側にまとまった通路幅を確保します。

片側に寄せることで、入口からベッド、そして収納へと続くスムーズな動線が生まれ、掃除や片付けもしやすくなります。

また、ベッドは窓を完全に塞がない位置に配置するか、低いヘッドボードを選んで窓からの光を取り込むことで、視線が奥へと抜け、実際の面積以上の開放感を演出できます。

8畳の配置術:サイドテーブルを置いて「左右対称(シンメトリー)」を作る

8畳の広さがあれば、ベッドを壁から離して部屋の「中央」に配置する贅沢なレイアウトが可能です。

ベッドの両サイドにゆとりある通路を設け、同じデザインのナイトテーブルや照明を対に配置すれば、高級旅館のような格調高い空間が生まれます。

本来、和の空間は「非対称」を美としますが、そこに西洋的な「対称性(シンメトリー)」を持ち込むことで、和モダン特有の洗練された雰囲気が際立ちます。

部屋に入った瞬間、左右対称に整えられたベッドエリアが視線の中心となり、空間全体に安定感と高級感を与えます。

動線の確保:入口・窓・収納前を塞がず「50cm」の通路を守る

デザインだけでなく、日々の使い勝手や将来の安全性を考慮した動線計画が不可欠です。

ドアの開閉軌道やクローゼットの前は、物の出し入れや通行のために最低でも90cm程度のスペースを確保し、ストレスなく動けるようにします。

ベッド周りの通路も50cm以上を確保し、ペットや高齢者がつまずかないよう、照明のコード類は壁際や家具の裏に隠蔽して足元の安全を守ります。

また、入口の敷居などの段差はリノベーションで極力解消し、ラグを敷く場合も端部がめくれにくい加工のものを選ぶなど、転倒する恐れを消しましょう。

fujitacaリノベーションによる施工後の内観。フローリングのリビングと奥の和室が段差なくフラットに繋がり、開放感がある。和室には黒い箪笥と球状の照明が置かれ、アンティークな雰囲気が漂う。

リビング和室の活用:襖を開け放って「第2のリビング」として広く使う

リビング横にある和室を寝室として使う場合、可変性を持たせることで空間の利用価値がぐっと高まります。

昼間は襖や引き戸を開け放ち、リビングの一部として広々と使い、夜は閉じて個室にするなどの使い分けが便利です。

この際、リビングと和室の床の色味や素材感を揃えておくと、開け放った時に違和感のない「続き間」として広く見せることができます。

また、プリーツスクリーンや格子建具を採用すれば、視線や音を緩やかに遮りつつ、家族の気配を感じられる距離感を保てます。

https://furureno.jp/magazine/japanese-modern-living

和モダン寝室の配色と素材|アースカラーをベースに漆喰・無垢材を効かせる

アイ・シー・ジーによるリノベーション後の寝室。淡い色味のヘリンボーン床と木製の収納扉が温かみを演出している。大きな窓から自然光が差し込み、バルコニーへと視線が抜ける明るい空間。

和モダンを成立させる配色は、ベージュやグレージュなどの「アースカラー」を基調とし、黒や真鍮色を締め色(アクセント)として使うのが鉄則です。

ただし、単に色を真似るだけでは不十分です。重要なのは「質感」です。

平滑なビニールクロスの代わりに漆喰、和紙、無垢材などの凹凸のある自然素材を重ねることで、光が当たった時に美しい陰影が生まれ、単調な洋室にはない深い奥行きが完成します。

素材の質感:漆喰・和紙・無垢材など「自然素材」を重ねて奥行きを出す

ビニールクロスなどの均一な素材だけでは出せない、味わい深い空間を作るのが自然素材の力です。

マットで光を柔らかく反射する漆喰の壁は、照明のグラデーションを美しく見せ、寝室にふさわしい落ち着きを与えます。

和紙クロスや障子は光を優しく拡散させ、直接的なまぶしさを軽減する効果があります。

また、床や造作家具に無垢材を使うことで、木目の質感や温もりが空間の主役となり、オイル仕上げを選べば経年変化も楽しめます。

https://furureno.jp/magazine/material-selection-renovationrenovation-mat

配色の基本:アースカラーをベースに「差し色(黒・真鍮)」で引き締める

落ち着きの中にもモダンな切れ味を感じさせるためには、配色の黄金比を意識することが大切です。

ベースカラー(壁・天井)70%、メインカラー(床・建具・家具)25%、アクセントカラー(小物・照明)5%の比率を目安にします。

全体をグレージュや生成り色でまとめつつ、照明器具や取っ手などに黒や墨色を取り入れることで、空間がぼやけず引き締まります。

さらに、差し色として藍色、煤竹色、柿渋色などの和の伝統色をクッションなどで小さく取り入れると、粋な印象になります。

壁紙とアクセント:ヘッドボード側の壁を変えて「空間の主役」を作る

部屋全体を一色にするのではなく、一面だけ変化をつけることで空間にメリハリが生まれます。

単なる色変えではなく、和紙調や珪藻土調など、素材感(テクスチャ)のある壁紙を選ぶことで上質感を高めるのがポイントです。

例えば、ヘッドボード側の壁のみ濃い色(ダークグレーや紺など)にすれば、空間に奥行きが生まれ、非日常的な雰囲気を演出できます。

また、腰壁のように木材を回して和の水平ラインを強調したり、ピクチャーレールを使ってシンプルに飾ることで、壁の美しさを引き立てます。

正方形の縁なし畳を敷き詰めたモダンな和室。正面にネイビーのアクセントクロスとアーチ開口の床の間、吊り押入れと間接照明を備える。

床材の比較:畳の「調湿性」か、フローリングの「メンテナンス性」か

床材選びは、ライフスタイルや優先順位に合わせて決定します。

畳は調湿性に優れ、直接布団を敷いたりゴロゴロしたりできる柔らかさが魅力です。特に半畳の縁なし畳を選べば、モダンな印象になります。

フローリングは掃除がしやすく、ベッドや家具の跡がつきにくい耐久性がメリットです。艶消しマット塗装や幅広の板を選ぶと落ち着いた雰囲気になります。

どちらを選ぶ場合も、掃除ロボットがスムーズに動けるよう、段差や敷居をなくしてフラットに仕上げておくことが大切です。

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和モダン寝室のリノベーション|空間の質を変える「内装」と「建具」の工事

縦格子の木製引き戸と市松模様の床が特徴の和モダン空間。水色のアクセント壁に水平の木製梁、木天井に円形照明と黒のアイアンバーを備える。

家具の配置だけでは作れない本格的な和モダン空間を実現するには、天井・建具・床などの「部屋の骨格」そのものをリノベーションで作り変える必要があります。 

具体的には、無機質な白い天井を板張りに変えて「お籠り感」を出し、既製品のドアを格子戸や障子に交換することで、旅館のような重厚感と柔らかな光の拡散効果を同時に実現します。

内装材を変えることは、見た目だけでなく断熱や防音などの居住性能を根本から引き上げる手段でもあります。

天井の造作:板張りや折り上げ天井で「お籠り感」と高級感を出す

天井のデザインは、部屋に入った時の印象と、寝転がった時の景色を劇的に変えます。

一般的な白いビニールクロスではなく、レッドシダーや桐などの無垢材を天井に張ることで、見上げた時の景色が旅館のような高級感に変わります。

また、ベッド上の天井をあえて少し低くする「下がり天井」や、一部を高くする「折り上げ天井」にすれば、寝室特有の包まれるような安心感と奥行きを演出できます。

天井の段差に間接照明を埋め込めば、光源が直接目に入らない、まぶしさのない空間を作ることができます。

https://furureno.jp/magazine/renovation-ceiling

建具の変更:クローゼットやドアを「格子戸」や「障子」に作り変える

建具はインテリアの「顔」となる重要な要素であり、ここを変えるだけで和モダンの完成度が上がります。

洋風のクローゼット折れ戸やドアを、縦格子の引き戸や職人による造作建具に変更するだけで、部屋全体の雰囲気が一気に和モダンになります。

窓の内側に「雪見障子」や「猫間障子」を入れることで、カーテンには出せない柔らかな拡散光を取り入れ、外からの視線も遮ることができます。

メンテナンス性が気になる場合は、破れにくい強化和紙を使用した建具を選ぶことで、障子のような見た目と耐久性を両立させることが可能です。

床の張替え:フローリングから「琉球畳(縁なし畳)」へ変更するメリット

畳の持つ機能性とデザイン性は、寝室のリラックス度を高めます。

縁(ヘリ)のない半畳サイズの畳を市松模様に敷き込むことで、洋室とも馴染むモダンでスタイリッシュな床を作ることができます。

素材には、天然イ草だけでなく、和紙や樹脂製の畳を選ぶことで、カビ・ダニの発生や日焼けによる変色を防ぐことが可能です。

また、置き畳ではなくリフォーム工事で敷き込むことで、廊下との段差をなくし、掃除のしやすさとバリアフリーを実現できます。

小林創建のリノベーション事例。縁なし畳を敷き詰めた広々とした和モダンのLDK。テレビ背面にはボーダータイルのアクセントウォールと間接照明を施し、洗練されたくつろぎの空間を演出している。

断熱の強化:内窓(二重窓)を設置して結露防止と静寂性を確保する

快適な寝室には、温度管理と静寂性が欠かせません。

気密性の高い内窓(インプラス等)を取り付けて屋外の騒音を遮断すれば、睡眠の質を左右する「静寂」を手に入れることができます。

また、窓際からの冷気を物理的に防ぐことで、床に近いロースタイルでも冬場の寒さを感じにくくします。

デザイン面でも、「和紙調ガラス」「格子入り」の枠を選ぶことで、断熱性能を上げながら障子のような和の雰囲気を維持できます。

結露対策と和のデザインを両立するヒントが満載のカタログをお届けします。事例集に掲載された最新の工法を参考に、冬でも暖かい理想の寝室づくりを計画しましょう。

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和モダン寝室のベッド選び|「ロースタイル」に「床座」の視点を取り入れる

和モダン寝室のベッド選びの鉄則は、視線を下げて空間を広く見せる「ロースタイル」です。しかし、単に背の低い家具を選べば良いわけではありません。

日本人が古来より親しんできた「畳に布団を敷く」という床に近い感覚(床座)を現代のベッドでどう再現するかがポイントになります。

ベッドそのものを「家具」ではなく「建築の一部」としてどう空間に馴染ませるかが、洗練された和モダンを作る鍵となります。

ベッドの選び方:畳ベッドやローベッドで視線を下げて広く見せる

ロースタイルの中でも特に和モダンと相性が良いのが、マットレスよりもフレームが一回り大きく作られた「ステージベッド」です。

マットレスの周囲に広がる木目のフラットな面(ステージ)は、単なるデザインではなく、旅館の「縁側」のような建築的な余白を空間にもたらします。

また、もう一つの有力な選択肢が、フレームの床板部分が畳になっている「畳ベッド」です。

畳ベッドは「布団の寝心地」と「ベッドの起き上がりやすさ」を両立できるため、長年布団で寝てきた方でも違和感なく取り入れられます。

い草や和紙畳の香りと質感が直接肌に触れるため、視覚だけでなく触覚や嗅覚でも「和」を感じられるのが魅力です。

デザインと機能:ヘッドレスですっきり見せるか、収納付きで隠すか

デザイン選びでは「見せる」か「隠す」かを明確にします。

圧迫感をなくし、枕元の壁をアクセントウォール(床の間)として楽しみたい場合は、「ヘッドレス(頭側の板がないタイプ)」が適しています。

壁に木パネルや間接照明を仕込むことで、壁全体を巨大なヘッドボードに見立てるような建築的な演出が可能になります。

一方で、予備の寝具や衣類をしまいたい場合は、「収納付きベッド」を選びます。

ただし、生活感が出ないよう、引き出しの取っ手が見えないデザインや、フレームの内側に収納機能が隠れたタイプを選び、あくまでシンプルに見せることが洗練への近道です。

傷と湿気対策:畳を保護する敷物と「すのこ」による通気性の確保

畳の上にベッドを置くスタイルは人気ですが、4本脚のベッドは荷重が一点に集中するため、畳を傷める原因となります。

これを防ぐには、脚のない「箱型(ボックス型)」のフレームか、脚の接地面積が広いデザインを選び、荷重を面で分散させることが不可欠です。

どうしても脚付きを選ぶ場合は、フェルトやゴムマットを敷いて保護しましょう。

また、低い位置は湿気が滞留しやすいため、日本特有の高温多湿な気候を考慮し、床板には必ず通気性の良い「すのこ」仕様を選びます。

リノベーション時に床下の断熱材を強化しておけば、冬場の底冷えや結露によるカビのリスクを根本から断つことができます。

スケールメイクスによるリノベーション後の寝室。壁全面が無添加漆喰で仕上げられ、床下収納を備えた木製の小上がりが造作されている。蓋を開けて内部の収納スペースが見えている状態。

高さの基準:マットレス上面「40cm」を目安に寝起きを楽にする

低さを追求しすぎると、毎日の起き上がりが身体的な負担となってしまいます。

ユニバーサルデザインの観点からは、マットレスに腰掛けた際に膝が直角になる「床から40cm前後」が理想的な高さです。

もし、さらに低い視線を好む場合は、ベッド自体を低くするのではなく、部屋の一部を30cmほど高くした「小上がり」を作り、そこにローベッドや布団を敷きましょう。

小上がりを利用すれば、寝る視線は低く保ちつつ、立ち上がる際は段差を利用できるため、デザイン性と老後の利便性を両立できます。

「我が家にぴったりのベッドの高さや配置は?」という個別の悩みは、無料相談で解決しましょう。WEB相談会なら、自宅にいながらプロのアドバイスを直接受けられます。

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和モダン寝室の照明・カーテン|眠りを誘う「陰影」を作るプリーツスクリーン活用術

黒いワイヤーフレームのデザインが特徴的な2灯のペンダントライト。温かみのある電球色の光が灯り、an cubeが手掛けた和モダンなリノベーション空間のアクセントになっている。

和モダン寝室の照明計画で目指すべきは、明るさではなく「美しい闇」をつくることです。谷崎潤一郎が『陰影礼賛』で説いたように、日本の美意識は影の中に宿ります。

その思想を現代技術で再現するには、障子やカーテンを通して光を柔らかく拡散させ、必要な場所に必要なだけ灯すことが大切です。

そうして初めて、安眠を誘う深いリラックス空間が広がります。

素材の選び方:和紙や布を通した「透過光」でまぶしさを消す

光源が直接目に入る光は、交感神経を刺激し睡眠の妨げとなります。和モダン寝室では、和紙やファブリック(布)のシェードを通した「透過光」を主役に据えます。

和紙の繊維を通った光は、夕陽のように不規則で柔らかな粒子となり、空間全体を包み込みます。

電球の色温度にもこだわり、蛍光灯のような白い光は避け、2700ケルビン以下の電球色を選ぶことで、焚き火を見ている時のような原始的な安らぎを得ることができます。

多灯分散の設計:重心を下げた「行灯(あんどん)」のようなあかり

天井のシーリングライト一灯で済ませるのではなく、複数の小さなあかりを組み合わせる「一室多灯」が基本です。

特に重要なのは、光の重心を低くすることです。

古来の日本家屋で使われていた行灯(あんどん)のように、床置きのフロアライトや、ベッドサイドの低い位置にブラケットライトを設置します。

足元に近い位置に光の溜まりを作ることで、天井付近に暗がりが残り、空間に奥行きと静寂が生まれます。

窓周りの主役:障子の機能美を受け継ぐ「プリーツスクリーン」

カーテンのドレープ(ヒダ)は洋風の印象が強いため、和モダン寝室には直線的な美しさを持つ「プリーツスクリーン」がおすすめです。

中でも、和紙のような質感を持つ不織布素材を選べば、障子と同じように直射日光を柔らかな拡散光に変えて室内に取り込むことができます。

プリーツスクリーンは、上下で「シースルー生地」「遮光生地」を切り替えられるツインタイプを選びましょう。

日中の採光と夜間のプライバシー確保を一台でスマートに完結させることができます。

機能性の重視:シーンに合わせた調光と、気配を感じる常夜灯

和の空間では、時間の「移ろい」を光で表現するのが粋とされます。

最新の「調光・調色機能」を取り入れれば、日中の爽やかな光から、夜は夕暮れ時の「茜色(あかねいろ)」のような深く温かい光へと、部屋の表情を滑らかに変えることができます。

また、夜間の足元灯は、単なる保安灯としてではなく、和の趣を感じさせる演出として取り入れます。

ベッド下に人感センサー付きの照明を仕込めば、暗闇の中で立ち上がる際、古来の「行灯(あんどん)」のように足元だけをほのかに照らしてくれます。

天井の電気をつけずに済むため、まぶしさに平穏な空気を乱されることなく、心安らかに夜を過ごせます。

和モダン寝室の事例集

実際にフルリノベーションで実現した和モダン寝室の事例として、グレーの壁で暗さを作った戸建て、縦格子で生活感を隠した旅館スタイル、そして余白を活かしたシンプルモダンの3つの成功事例を紹介します。

障子と照明計画——グレーの壁で「暗さ」を作る戸建てリノベ

グレーの塗り壁と障子、無垢材の床を組み合わせた和モダンスタイル。ツインベッドと丸い和紙のペンダントライトが特徴的。

築45年の戸建てをフルリノベーションし、既存の和室を「グレーの塗り壁」と「障子」で現代的に再構築した事例です。

寝室の壁は、もともとの繊維壁を剥がし、グレーの塗り壁に変更しました。 彩度を落とした壁色が空間のトーンを沈め、落ち着いた睡眠環境を作り出しています。

窓周りにはカーテンではなく「障子」を採用。 強い日差しを和紙越しに柔らかな光へ変換し、室内に取り込んでいます。

照明計画では、天井に和紙のような風合いを持つ大型のペンダントライトを吊るし、壁面には裸電球のブラケットライトを併用。 

全体を包む柔らかな光と、ポイントとなるあかりを組み合わせ、空間にメリハリを生み出しました。

床材には「無垢の杉フローリング」を使用し、外断熱と内断熱の二重断熱で温熱環境も向上させた、デザインと性能が共存する一室です。

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素材の風合いや光の陰影を活かした空間づくりにピンときた方は、ぜひこちらの会社詳細ものぞいてみてください。

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収納と建具:大きな「縦格子」で生活感を隠す旅館スタイル

網代編み風の天井と、収納全面に使われた木製ルーバーの引き戸が特徴。旅館のような和の趣がある落ち着いた空間。

築30年の戸建てをフルリノベーションし、建具のデザインで「旅館のような風情」を再現した事例です。

この寝室の主役は、壁一面に設けられた天井までの高さがある「縦格子の引き戸」です。

一般的なクローゼット扉ではなく、繊細な木のラインが並ぶ格子戸を採用することで、収納内部の生活用品を視覚的に遮断しながら、圧迫感のない軽やかな景観を作っています。

また、この格子戸は単なる目隠しではありません。

完全に閉め切っても格子の隙間から空気が通るため、湿気がこもりやすい寝室の収納において、カビやニオイを防ぐ機能的な役割も果たしています。

無機質な壁を作るのではなく、職人の手仕事を感じさせる建具で空間を仕切ることで、機能性と和の美意識を両立させています。

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無垢床と余白:狭さを感じさせないシンプルモダンな配置

スケールメイクスによる築60年古民家リノベーション後の寝室。パインの無垢フローリングと漆喰の壁・天井で仕上げられた、自然素材の温かみを感じるシンプルな空間。

築60年の古民家を、「100年住み継ぐ家」へと再生させたフルリノベーション事例です。

この寝室が目指したのは、装飾で飾るのではなく、素材の力で満たす「最高の睡眠空間」です。 

視覚的な広がり(余白)を生み出すために、壁と天井はすべて「無添加漆喰」で塗り替え、真っ白なキャンバスのような清浄な空間をつくりました。

漆喰の持つ高い反射率が、窓からの自然光を柔らかく回し、実際の畳数以上の開放感を感じさせます。

床材には、針葉樹である「パインの無垢フローリング」を採用。

漆喰と無垢材という「呼吸する自然素材」で部屋全体を包み込むことで、優れた調湿性能が発揮され、湿気の多い季節でもカラッとした快適な空気環境を保ちます。

窓枠や巾木に木のラインを効かせ、シンプルながらも温かみのある、機能美を極めた和モダン寝室です。

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和モダン寝室をフルリノベーションで叶える|理想を共有できるパートナーを探す

理想を共有できるパートナーを探すためには、家具の買い替えだけでなく、天井・照明・断熱などの空間のベースから設計できるフルリノベーションの専門家に相談することが近道です。

天井の高さ、照明の配線、窓の断熱、そして床の素材感。これらすべてが調和して初めて、旅館のような心地よい静寂が生まれます。

ご自身の住まいを、毎日の疲れを癒やす極上の空間に変えてみませんか?

フルリノベーションなら、既存の間取りや配管にとらわれず、ゼロからあなたのための寝室を設計できます。

「こんな雰囲気にしたい」というイメージを共有し、一緒に理想を叶えてくれるリノベーションのパートナーをぜひ探してみてください。

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記事を書いた人
株式会社フルリノ 代表取締役 開原崇友

株式会社フルリノ 代表取締役 開原崇友

建築系ベンチャーにて、組織づくりや新規事業立ち上げに従事。 また、建築会社やスタートアップ企業の事業戦略・人事コンサルタントとして、さまざまな企業の支援にも。 長きに渡る建築業界での経験から、建築プラットフォームを構想。フルリノ!を立ち上げる。

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