猫と暮らす家の困りごとは、壁の爪とぎ、運動不足、脱走、トイレの臭いの4つが中心です。
なかでも多いのが、壁紙がボロボロになる爪とぎの被害です。爪とぎは猫の習性なので、やめさせるより、とぐ場所を移して壁を守る形で対策します。
運動不足や脱走も、住まいのつくりで解決できる問題です。猫の暮らしに合わせて住まいを整えれば、壁を守りながら猫も人も快適に過ごせます。
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猫の壁紙対策は爪とぎの理由と場所から考える

猫の壁紙対策は、壁でとぐ理由と、狙われる場所を知るところから始まります。
爪とぎそのものはやめさせられないため、とぐ場所を壁から移すのが基本です。そのうえで、猫が狙う場所と高さがわかれば、守る範囲を絞れます。
猫が壁で爪をとぐのは古い爪をはがし、においを残すため
猫の爪とぎは、古くなった爪の外側をはがして新しい爪を出すための手入れです。
体を伸ばす運動を兼ねるほか、傷跡を残して自分の縄張りを示す意味もあります。環境省のガイドラインでも、柱などでつめをとぐのは猫の習性で、やめさせるのは無理という扱いです。
叱って止めても、猫は別の場所でとぎ始めます。壁を守る方法は、とぐ行動を残したまま、とぐ場所を壁以外に移すことです。
参考:環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」
爪とぎされやすいのは壁の角・出入り口・ふすまと柱、床から届く高さまで
猫が爪をとぐ場所は、家の中でおおよそ決まっています。
狙われるのは、壁の角やドア枠のまわり、猫がよく通る部屋の出入り口です。和室があれば、ふすまと柱も対象になります。
傷がつく高さは、猫が後ろ足で立ち上がり、前足を伸ばして届くところまでです。体の大きさで変わるため、守る範囲は、飼っている猫が壁に前足をかけた位置を目安に決めましょう。
場所と高さがわかれば、壁一面を覆わなくても被害を抑えられます。
爪とぎを壁のそばに置いて壁から気をそらす
壁でとぐ猫には、狙われている壁のすぐそばに専用の爪とぎを置くと、とぐ場所が移ります。
猫が壁を選ぶのは、体を縦に伸ばしながら体重をかけてとげるからです。床に置く平らな爪とぎより、壁に立てかける縦型のほうが、同じ姿勢でとげます。
体重をかけたときに倒れたり動いたりすると、猫は使わなくなります。爪とぎは、倒れにくい安定した縦型を選びましょう。
壁よりとぎやすい場所をつくることが、工事の前にできる最初の対策です。
賃貸でもできる猫の壁紙対策

賃貸の壁紙対策で使えるのは、退去するときに元へ戻せる方法です。
壁に穴を開けたり、強い接着剤で貼り付けたりすると、退去するときに元へ戻せません。シートやカバーで覆う範囲は、猫が立ち上がって前足が届く高さまでが目安です。
貼ってはがせる保護シートは弱粘着を選ぶ
賃貸で使う保護シートは、粘着の弱いタイプを選びましょう。
強粘着のシートは、はがすときに下の壁紙まで一緒にはがれるためです。その補修は借りている側の負担になります。
素材に向くのは、透明か半透明で表面がつるつるしたシートです。爪が引っかからないため、猫はとぐ場所として選びません。
和室のある部屋なら、ふすまに貼れるタイプの保護シートもあります。
ただし、長く貼ったままにすると、覆った部分だけ日焼けせず、はがしたときに色の差が出る点に注意が必要です。
粘着の弱い製品でも、はがすときに壁紙の表面を傷めることがあります。貼る前に、目立たない場所で試しておくことが欠かせません。
壁の角と柱はコーナーカバーで守る
壁の角や柱は、シートを貼っても端からめくれるため、角を包むコーナーカバーで守りましょう。
賃貸なら、細いピンや画びょうで留めるタイプを選ぶと、外したあとの穴が目立ちません。
カバーの素材には、木、麻、帆布などがあります。麻はとぎ心地がよく、カバー自体が爪とぎの代わりになる一方、ボロボロになるのも早い素材です。
猫にとがせて守るか、とげない素材で守るかによって、選ぶ素材が変わります。
退去時の原状回復で請求される範囲
国土交通省のガイドラインでは、ペットによる柱やクロスのキズ、臭いの付着は借りている側の負担です。
ただし、張り替え費用の全額を払うわけではありません。クロスは6年で価値がなくなる前提で負担割合を計算するため、住んだ年数が長いほど負担は減ります。
入居したときの壁の状態は、写真で残しておきましょう。ガイドラインも、入居時と退去時に部屋の状態を確認し、写真などで記録することを勧めています。
参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
持ち家でできる猫の壁紙対策と費用

持ち家なら、壁そのものを爪に強い素材に替えられます。
壁紙をペット対応のものに替える方法と、壁の下半分に板やパネルを張る方法が中心です。和室のふすまも、紙の種類を替えるか引き戸にすれば破れなくなります。
ペット対応壁紙は表面の強さで引っかき傷を防ぐ
ペット対応壁紙は、表面の樹脂の層を硬くしたり、フィルムで覆ったりして傷に強くした壁紙です。
普通のビニールクロスなら一度で破れる爪とぎでも、表面に傷がつきにくくなります。
ただし、傷がまったくつかないわけではありません。同じ場所でくり返しとがれれば、表面もいずれ傷む素材です。
壁の近くに爪とぎを置く対策と組み合わせれば、ペット対応壁紙の傷みを遅らせられます。
壁材のクロスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/kabezai-kurosu
腰壁と壁材で爪の届く高さを覆う
腰壁(壁の下半分に板やパネルを張る仕上げ)にすると、爪の届く高さをまとめて覆えます。
高さの基準は、飼っている猫が立ち上がって前足が届く位置です。表面の硬いタイルや化粧パネルなら、爪が入らないため、猫がとぐ対象になりにくくなります。
塗り壁を考えている場合に気をつけたいのは、素材ごとの爪への強さの違いです。漆喰は硬く仕上がりますが、強い力がかかると欠けることがあります。
珪藻土は表面が柔らかく、爪とぎで削れていく素材です。
塗り壁にするなら、上半分を漆喰や珪藻土にして、下半分を腰壁にする組み合わせが向いています。
漆喰と珪藻土の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/shikkui-keisodo-chigai
ふすまは破れにくいふすま紙か引き戸に替える
ふすまは紙でできているため、爪とぎや体当たりですぐに破れます。
張り替えるなら、表面を強化した破れにくいふすま紙が候補です。普通のふすま紙より爪に強く、和室の見た目もそのまま残せます。
和室ごと見直す工事なら、ふすまを木の引き戸に替える方法もあります。紙を使わない戸なので、破れる心配そのものがありません。
補修で済むか、張り替えるかの判断と費用
傷が小さく範囲が狭ければ、市販の補修テープで目立たなくできます。
傷が部屋のあちこちにある場合や、壁紙がはがれて下地が見えている場合は、張り替えになります。張り替えるなら、ペット対応壁紙や腰壁に替える機会です。
費用は替える範囲で決まります。ワンルームの壁紙を普及品のクロスで張り替える場合は10万〜15万円、天井と壁をまとめて張り替える場合は40万〜80万円です。
ペット対応壁紙は、普及品のクロスより価格が上がります。費用を抑えたいなら、猫がよくとぐ部屋や壁から優先して替えましょう。
どの仕様が合うかは、猫の数や部屋の使い方によって一概には決められません。住まいの条件を伝えて、リノベーション会社に提案してもらうと選びやすくなります。
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猫のトイレ置き場と通り道のつくり方

猫のトイレは臭いのこもらない場所に置き、扉を閉めていても通れる道を用意しましょう。
置き場所と通り道がそろえば、冷暖房の季節も猫が自分でトイレへ行けます。
トイレは臭いがこもらない場所に置く
猫のトイレは、換気扇や窓のある場所に置くと臭いがこもりません。
リビングに置く場合は、臭いが部屋全体に広がります。換気できる洗面所や廊下の一角は、猫のトイレの置き場に向く場所です。
ペットの臭い対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/pet-smell-countermeasure
トイレまでの通り道はペットドアでつくる
トイレのある部屋の扉にペットドアを付ければ、扉を閉めたままでも猫が通れます。
扉を少し開けておく方法では、冷暖房の効きが落ちます。ペットドアなら、扉を閉めて部屋の温度を保ったまま、猫が自分で行き来できる状態です。
ペットドアの後付けについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/pet-door-installation
猫の脱走を防ぐ窓と玄関

猫の脱走を防ぐには、窓と玄関の2か所を対策しましょう。
屋外には交通事故やほかの猫とのけんかなど、室内にない危険があります。脱走が起きるのは、窓では網戸が外れたり破れたりしたとき、玄関では扉を開けた一瞬です。
網戸は猫が開けられず破れにくいものにする
網戸は、猫が前足で開けたり、爪を立てて破ったりすると脱走の出口になります。
開けられないようにする方法は、網戸に後付けできるロックで固定することです。破れを防ぐには、ペット用として売られている丈夫な網に張り替えましょう。
ロックと網の両方をそろえれば、窓を開けて換気している間も、猫は外へ出られません。
玄関の手前に仕切りの扉を設ける
玄関からの脱走は、帰宅したときや来客のときに、扉を開けた足元をすり抜けて起こります。
玄関と廊下の間に扉か引き戸を付けると、玄関が二重になります。内側の扉を閉めてから玄関を開ける流れにすれば、猫は外まで出られません。
廊下に扉を新しく付ける費用は、1か所15万〜20万円が目安です。
猫が入れない場所を廊下から玄関までと決めておけば、扉1枚で脱走を防げます。
猫の運動不足を防ぐキャットウォークとキャットステップ
室内で暮らす猫の運動不足は、上下に動ける場所をつくると解消できます。
猫は高い場所に上ったり下りたりする動きを好みます。壁に棚板や段を付けるキャットウォークとキャットステップは、床の広さを使わずに上下運動の場所をつくれる設備です。
参考:環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」
キャットウォークは壁の下地に固定する
キャットウォークを付けるときに注意したいのは、固定する壁の強さです。
一般的な住宅の壁は、表面の石膏ボードだけではビスを留めてもしっかり固定できず、猫が飛び乗ったときの衝撃を支えられません。
壁の中にある柱や下地の木材にビスを留めれば、猫が飛び乗ってもぐらつかなくなります。下地のない位置に付けたいときは、壁の中に補強の板を入れる工事が加わります。
猫が上り下りできる段差と配置
キャットウォークは、猫が無理なく上り下りできる段差でつなぐことが条件です。
段と段の間が開きすぎると、猫は上ろうとしません。下りるときに飛び降りる高さが大きいと、着地のたびに足腰へ負担がかかります。
窓のそばを通す配置なら、猫が外を眺めたり日向ぼっこをしたりする居場所を兼ねられます。年をとった猫と暮らす場合に必要なのは、段差を小さくして上り下りの負担を減らす配置です。
猫が高い場所から飛び降りる着地音は、床を伝わって階下に響きます。足音が気になるなら、床の対策が必要です。
ペットの防音対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/pet-soundproofing
キャットウォークを設置する費用
キャットウォークの設置費用は、5万〜20万円が目安です。
金額は、付ける長さや段の数、使う木材によって変わります。壁の中に補強の板を入れる場合は、その工事と壁紙の張り直しが加わるため、費用が上がります。
壁紙の張り替えや間取りの変更と同じ時期なら、補強の工事をまとめて行えるので無駄がありません。
ペットと暮らすリノベーションについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://furureno.jp/magazine/pet-revo-guide
リビングをキャットウォークで囲んだ事例

インテリックス空間設計が手がけた、東京都の築21年のマンション(42平米)の事例です。
施主は、仕事で家を空ける日中も愛猫が安全に留守番できるよう、中古マンションを購入してリノベーションしました。
「自分もネコも快適に住みたい」という考えを、物件探しの段階から10枚以上の要望書にまとめています。
キャットウォークは、リビングをぐるりと囲む形です。一部は掃き出し窓を横切る位置にあり、猫が窓辺で外を眺めたり、日向ぼっこをしたりできるようになっています。
廊下から玄関までは猫が入らないゾーンに分けてあり、外への飛び出しも防いでいます。
参考:愛猫は安全に、私は“ズボラ”に。無理なく楽しく暮らせる家/インテリックス空間設計
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猫が安全に外を楽しめるキャティオのつくり方
キャティオは、猫が外の空気や日差しに安全に触れられるよう、ネットや囲いで覆った場所です。
ベランダ、庭、窓辺のどこにつくるかで、工事の大きさが変わります。マンションのベランダは管理規約、庭への増設は建築基準法の確認が必要です。
キャティオはベランダ・庭・窓辺につくれる
キャティオのつくり方は、ベランダをネットで囲う方法、庭に囲いを設ける方法、サンルームを増設する方法の3つに分かれます。
工事の規模が小さいのは、ベランダの手すりから天井までをネットで覆う方法です。庭に囲いを設ける場合は、木の枠や金網で小屋のような空間をつくります。
サンルームの増設は、建物に部屋をひとつ足す工事です。窓辺から猫が出入りでき、雨の日も使えるぶん、3つの中では費用がもっとも大きくなります。
費用は広さや素材で大きく変わるため、つくり方を絞ってから見積もりを取ると比べやすくなります。
ベランダは管理規約、庭への増設は建築確認を確かめる
マンションのベランダは、自分の住戸だけが使える場所でも、住民全体の共用部分です。
国土交通省のマンション標準管理規約でも、区分所有者はバルコニーの専用使用権を持つという位置づけになっています。
ネットや囲いを付けられるかは管理規約で決まるため、設置する前に確認しましょう。
隣の住戸との仕切り板や避難はしごのまわりは、火災のときの避難経路です。キャティオで囲う場合も、ここをふさぐことはできません。
戸建ての庭にサンルームを増設する場合は、建築確認の申請が必要になることがあります。
防火地域と準防火地域の外で、増築する床面積が10平米以内なら申請はいりません。それ以外の場合は、申請が必要になることがあります。
自宅が防火地域や準防火地域に入っているかは、市区町村が公開している都市計画図で確認できます。
サンルームを増設してキャティオにした事例

an cubeが手がけた、大阪府の築30年の戸建て(160平米)の事例です。
子どもたちの独立と建物の古さをきっかけに、夫婦はリノベーションを決めました。1頭の犬と6頭の猫が健やかに暮らせることが、改修の大きなテーマです。
建物とフラットにつながるサンルームを増設し、猫たちが日向ぼっこを楽しめるキャティオになっています。
玄関の吹き抜けやリビングにもキャットウォークがあり、家の中でも上下に動き回れます。
壁付きだったキッチンは対面式に変わり、キッチンからリビングにいるペットたちの様子が見える配置です。
参考:愛犬・愛猫を主役に、ご夫婦の暮らしも心地よくした戸建てリノベーション/an cube
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まとめ|猫の壁紙対策は住まいづくりから
猫の壁紙対策は、壁のそばに専用の爪とぎを置き、とぐ場所を移すところから始まります。
それでも守る必要がある範囲は、猫が立ち上がって前足が届く高さまでです。賃貸なら貼ってはがせるシートとコーナーカバー、持ち家ならペット対応壁紙と腰壁で守れます。
トイレの置き場所、窓と玄関の脱走防止、キャットウォーク、キャティオも、住まいのつくりで解決できる問題です。
ただし、どの対策が合うかは住まいと猫によって変わります。賃貸か持ち家か、マンションか戸建てかで工事できる範囲が違い、猫の数や年齢によっても必要な設備は別です。
住まいの工事は、条件を伝えたうえで、ペットの施工に慣れた会社に提案してもらいましょう。
フルリノでは、全国の信頼できるリノベーション会社のなかから、猫との暮らしに合う会社に相談できます。
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